私 あまり そういう事は 自分から詮索しない性質なんです。 あまり そういう事は 自分から詮索しない性質なんです。 お前 向こうから来る親父知らんか?」。 あ~ ちょうどな 八百屋の親父と立ち話 始めよった。 「おい お前 この界隈に住んでてあの親父を知らなんだらな大阪に住んでてお城を知らんのと一緒やで」。 大阪に住んでてお城 知らん人は無いやろ?この界隈であの人を知らん人は無いそれぐらい 名前と顔は知れてるっちゅう訳や。 『胴乱の幸助』っつ名前聞いた事ないか?」。
別に 炭屋へ奉公に行かんでもやな一生懸命 働いた。 粉屋へ 奉公に行て一生懸命 働いたら粉だらけ真っ白になると思うわ。 ともかく一生懸命 働いたんや。 な? ちょとずつ元手を増やしていてやな裏通りから 表通り今の 割木屋の店 買うて奉公人の3人も置いて 左団扇で楽隠居という 偉い親父やで」。 「思うやろ? ところがな一生懸命 働きづめに働いて遊ぶっちゅう事をせなんだ。 他人の喧嘩の仲裁に入るのんが道楽や」。
まともに 頭の後ろ本当に 死ぬが一緒」。 ほなら 私が お前 ええ?エエ~イ両足 持って ダ~ッ引きずっていてやな おう向こうの小便担桶や 向こうへお前を蹴り込んでなあの 大きな石頭へ 思いっきり バ~ン」。 「なにか? 私 千度 痛い目して血だらけで 傷だらけで小便担桶?」。 「この カンカン照りにそんな死骸誰も引き揚げてくれへんと思うわ。 喧嘩が本当物になってしまいました。 「あんた 割木屋の親父っさん」。 あんた 割木屋の親父っさん」。
「そうやろ? 喧嘩 見たら放っとけへんね。 本日は こんな年寄りが中に入ったにもかかわらず気持ちように喧嘩を任してもろうておおきに 礼を申します。 が喧嘩の仲裁という事になると事の次第を問いただしておかんとならんがどういうところから起きた喧嘩や一部始終 包み隠さず聞かしてもらいたい。 ア~ッ もう 親父っさんもう この喧嘩あなたに任してんさかいなそんな事 忘れまひょ ええもう 嫌な事 忘れて へえとりあえずワ~ッと パ〜ッと へえ駆けつけ三杯」。
親父っさん。 「え〜炭屋と粉屋が一生懸命 働いたら…」。 「そこで 酒樽を小便担桶へ バ~ン」。 「親父っさん こいつ ボンヤリ…」。 「親父っさん。 「もう 親父っさんお任せしますさかいに」。 ええ酒でおまっさ 親父っさん。 親父っさん。 「待った 親父っさんどこ 行きなはる?」。 「そらぁ 親父っさん 殺生な」。 『割木屋の親父っさんでんな』。
演し物が「桂川連理柵 帯屋の段」お半 長右衛門の心中物語。 「お半長 お半長」なんか言われてもう 大ヒットした作品でございましてほとんどの人が 粗筋 ええそして この 台詞 うん♪「井筒に 帯の暖簾の」という くだりを一生懸命 稽古をするんでございます 女のお師匠はん。 「好きだんね お師匠はん『桂川連理柵帯屋の段』 『お半長』。 「本当に 『お半長』お浄瑠璃 知らん?えらい人が入ってきた 本当に今どき。
で この 長右衛門さんにも 一つ落度があるっちゅうのがな伊勢詣りの下向道に 石部の宿の宿屋で 同じ町内に住む「フン フン。 「で この長右衛門さんにはなお内儀で お絹さん 日本一の貞女がついてますねん。 「虎石町の西側っちゅう所あるか?」。 そこに帯屋で長右衛門っちゅう家 あるか?」。 え~っと 柳の馬場 押小路虎石町の西側。 「もう 『お半 長右衛門』なら今日日 こんなに小さい子供でも知っておすがな」。