♪~作家 中上健次の長女です。 中上健次が46歳で没してから24年がたちました。 36年前に声が録音された路地へ旅に出た中上健次は熊野の荒々しい自然を愛しました。 中上が「路地」と名付けた新宮市 春日。 昭和50年代「同和対策事業」によって建設された「改良住宅」が並んでいます。 江戸時代 この地区の人々は身分制度の下に置かれ明治以降も差別が根強く残ります。 昭和53年頃 改良住宅が建設される直前の路地を中上は自ら フィルムに収めていました。 昭和初期にかけての少女時代を中上に語っています。
その録音を 路地の人たちに再生して聴かせる様子が「被差別部落の生活文化を掘り起こしその豊かさを確かめたい」と考えていました。 「千年の愉楽」は路地の「語り言葉」の持つ力によって紡ぎ出されていきました。 息の長い文体で オリュウノオバは路地をうたいあげます。 りゅうさんに「路地の言葉の力」を見いだした中上は聞き取りを広げていきました。 被差別部落の 生活の改善を目的に国が進めていた「同和対策事業」の一環でした。 路地と「まち」とを隔てていた山を削り取り新しい道を通し 54戸の改良住宅を建設していきます。
チエさんは 紡績工場から19歳で路地に戻り中上健次の抱えていたテーマを引き継ぐと 明言している作家だ星野さんは 6年前ホームレスの人たちが 自分の言葉で表現する場を作ろうというのです。 ツヨシの運転するトレーラーに乗ったオバたちは 7人連れ立って路地と外の世界をつなぐ摩訶不思議な物語が書かれていきました。 キクエさんをモデルにした…紡績工場に働きに出た経験を持っています。 やなぎさんも また路地の世界を 旅公演の行く先々で出現させようとしています。