グズグズしてるってえとね河岸 行くのが 遅くなるよ」。 昨日 お前さん そう言ったろ?『もう 明日っから商いに出るから今夜は もう飲むだけ飲ましてくれ』って。 半月も 二十日も商え 休んじゃって おめえ第一 盤台が しょうがねえだろ」。 私はね 昨日今日 魚屋の女房やってんじゃないんだよ。 本当に。 本当に… アッハッハッハ。 本当に… ヘヘッ。 何だい どうもなしっかりしてくれよ 本当に。 かかあのやつが グズグズ言うのはこら 無理もねえかな。
数えたら 四十二両はあるぜ」。 それよりも お前さんね昨日 残したのが少しあるけれども どうだい?それで間に合わないかい?」。 グズグズしてるってえとねまた 河岸行くのが遅くなるよ」。 昨日のあれでもって開けときゃいいじゃん」。 「何だい? 昨日のあれって」。 おめえに… え?昨日 俺 おめえに渡したろ?あれで開けとけってんだ」。 「四十二両 渡したろ」。
ガラッと人間が変わりましてこれから 商いに精を出し始めましたら 何しろ腕のいいところへ 早く河岸行っていい魚を仕入れてきてお得意様に持っていきますから得意先でも「やっぱり 何だな魚は 勝公に限るな。 3年たつか たたないうちに裏通りの この 棒手振がどうにか こうにか表通りへ 小さいながらも魚屋の店を出すようになります。 おっ おめえたちも 何だぜいつまでも グズグズしてねえで順繰りにな湯 行っちゃった方がいいぞ。
なあ? コンチクショウ。 夢で ごまかせったってどうしたらいいかと思っていたら お前さんが友達 大勢連れてきてグデングデンに酔っ払って寝てくれたんではあ~ これで なんとか 夢でごまかしがつくかなあと思っていたら明くる日になると私は お前さんに『これは夢だよ 夢なんだよ夢だったんだよ』押しつけたら お前さんもう 人がいいもんだから私の言う事を本当にしてあれだけ好きなお酒をぴったりと やめて商いに精を出してくれる。