地球ドラマチック「よみがえるアイスマン~科学とアートが明かす謎〜」

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この番組のまとめ

エッツィは世界にセンセーションを巻き起こし科学的な宝物となりました。 研究者たちはDNAを解析して彼の身元を突き止めつながりのある現代人にまでたどり着く事を目指しています。 手がかりはまず エッツィ自身にあります。 最初のうちエッツィは吹雪の中で凍死して雪に埋まったのだと考えられていました。 死に至ったエッツィ。 エッツィは何者だったのでしょうか。 腐敗を防ぐため エッツィは南チロル考古学博物館の冷凍室に20年近く保管されています。 スターブはエッツィの精巧なレプリカを作る仕事を任されたのです。

レプリカの基本構造はエッツィの死因究明にも役立ったCTスキャンのデータに基づいて作られます。 巨大な3Dプリンターによってエッツィの体は一塊のまま立体的に成型されます。 これを材料にエッツィの実物大プラスチックモデルが成型されます。 その結果 エッツィの体表のどんな小さな凹凸ももれなく再現されます。 エッツィの全身が再現されました。 CTスキャンでエッツィの筋肉と関節を見れば彼が生前どのような暮らしをしていたか多くの事が分かります。

ミイラ化したエッツィの複雑な皮膚を正確に再現するには膨大な時間が必要となるでしょう。 エッツィは皮膚や筋肉などが十分に保たれた事でほぼ完全な保存状態が維持されました。 一方 自然にできたミイラ エッツィやアンデスの山頂で見つかったもの泥炭に埋まっていた遺体などは自然環境の力だけで遺体が保存されたものです。 氷の中に長年 閉じ込められていたエッツィは自然にできた冷凍ミイラです。 特にアルプスでは自然にできた冷凍のミイラはエッツィしか見つかっていません。

目尻から爪先に至るまで体中の皮膚を本物のエッツィそっくりにしなくてはなりません。 エッツィの入れ墨は治療行為を目的とした最も古い直接的証拠といえるかもしれません。 エッツィと一緒に見つかった2種類のキノコを見つけようとしているのです。 このキノコにはエッツィが抱えていた病気の治療薬となる特質があります。 今 知られているかぎりではエッツィは最古の治療例です。 比較的 最近の発見だと思っていた治療手段がはるか昔から存在していた事をエッツィが教えてくれたんです。

エッツィはこの遺伝情報全体が解析された最古のヨーロッパ人の一人です。 エッツィの血液型はOで現代の病と思われる動脈硬化症や心臓病になりやすい体質でした。 古代の狩猟採集生活が次第に農耕生活に置き換わっていったのです。 狩猟採集から農耕への移行が進み人々の生活は大きく変化していました。 そして 5,000年前になると狩猟採集の文化はそれとも農耕民の集団に属しアルプスの麓で定住に近い生活をしていたのか。 研究者たちが注目したのはDNAの突然変異でした。

では エッツィのDNAとより合致するのは狩猟採集民でしょうか。 それを知るためにヨーロッパ各地のさまざまな年代を対象に古代の農耕民と狩猟採集民それぞれからサンプルを入手しました。 DNAから見てエッツィに最も近いのは農耕民に分類される人々だったのです。 この結果が示すのは農耕民がトルコからヨーロッパへ移住し生活圏を広げ次第に狩猟採集民を押しのけていったという事実です。