日本の話芸 柳亭市馬 落語「粗忽の使者」

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この番組のまとめ

♪~この方の家来に治武田治武衛門という。 殿様も この治武衛門さんが 大変お気に入りでございましてないつも おそばに置いて「治武衛門 治武衛門」とかわいがっておりました。 この お殿様の親類筋にあたります赤井御門守様という お大名。 お殿様同士が顔を合わせました時に。 殿様同士で お使者の約束が取り交わされました。 もちろん これは お殿様同士が遊びでございます座興なんですが 当人はそんな事は知りませんで「おい 治武田の旦那だよ。

で 『今日はお使者が見えるから使者の間近くに職人は 行っちゃいけねえ』って言われてたんだけどさぁ俺 見てえからね うん隣の部屋でちょうど 仕事してたから衝立ん所へ隠れて 襖細めに開けて 見てたんだよ。 拙者は 当家の家臣田中三太夫と申す者でござる』ってんだぃ。 拙者は 当家の家臣田中三太夫と申す者でござるが』」。 で 世間話の 二つ 三つのそのあとにね 田中の旦那が『え~ 早速でございまするが本日の お使者の口上をお聞かせ下さいまするように』ってんで 頼んだんだ。

「田中の旦那は 背中へ回ってね指なんぞポキポキ鳴らしちゃってね…。 『あ~ 拙者は武骨者ゆえ遠慮というものを致さんからこの辺で 如何でござる?治武田氏』って やったんだよ。 『如何でござる? 治武田氏』。 『ご当家に もっと指先に 力量のあるご仁は ござらぬか?』ときたよ。 よんど いねえ時は力士を雇ってでもおひねり致しますのでしばらく お待ちを』ってんで ね~この けあいが 今もの分かれになってね田中の旦那が 指先に力量のあるご仁ってぇのを血まなこになって 探してるんだ。

向こうは まかり 間違やぁ腹ぁ 切るんだよ?それを思やぁ 尻の肉の一貫目や二貫目」。 「大丈夫かい?」。 「大丈夫だから。 「田中氏? 三太夫殿か?」。 ご貴殿に 用があるというお使者の後ろへ行って『如何でござる?治武田氏』ってのはあれ どうなりました?」。 ええ こっちはどれだけ 力があるったってね丸太へ ト~ンと打った五寸釘うん指にね プッ 唾ぁ つけといてねこれで 釘の頭を持ってねキュ~ッってんだ 俺は見たところ 左様に力量があるようには思えんが」。

お~ 刷毛先が乱れておるので整えておけ」。 お使者の間に出たら言葉遣いは丁寧にな」。 拙者は田中三太夫田中を返して 中田よう 覚えておくように」。 ありがてえね うん私が留太夫?旦那が三太夫で 留太夫。 三太夫に留太夫三河の漫才みたい」。 ね~お屋敷ってぇのはね~ いや仕事じゃ上がりますけどもね〜広いもんだね これ。 いや あ~ ご貴殿の尻をひねりまする「お次に控えし中田留太夫殿。 「あれっ? 留太夫殿。 呆れ烏の背中 チャンギリ」。 早速 仕事へ かかりなさい」。