日本の話芸 桂雀三郎 落語「三十石」

戻る
【スポンサーリンク】
15:09:35▶

この番組のまとめ

その間に 水路 井路川がこう 走ってましてですねそこを この 舟がね農耕用の舟がこっから向こうぐらいまでの舟がですね藁とか肥担桶とか積んでこう 走ってまねんね。 昔は 淀川を 三十石船というのが上り下りしておりまして2俵半で 1石になるんですな。 例によりまして 大阪のうまの合いました二人連れがお伊勢詣りをいたしまして帰りは 北回りをとりまして伊賀上野から草津のほうへ出ましてね大津へ出て 大津から京へ出まして 京見物をして伏見街道へ出てまいりましてあんさん方 お下りさんやございませんかいな?」。

「今橋通り二丁目」。 「え~ 今橋通り二丁目」。 「鴻池善右衛門と」。 「私は 大阪の住友」。 「鴻池さんの次は住友さんでおますか?住友の旦那さんもよう 存じております」。 「お前の言う住友 どの住友?」。 「どの住友て大阪の住友さんといやぁ住友吉左衛門さんで」。 私は大阪は 福島中生まれの炭屋の友吉で 炭友や」。 「あさ… 浅草花川戸だよ」。 え~ 浅草花川戸。 「ば… 幡随院長兵衛ってんだ」。 「幡随院長兵衛。 私が 本当に 幡随院長兵衛や。 愚僧は 高野山弘法大師。

「包丁鍛冶 菊一文字藤原四郎兼高」。 「本家根本」。 「梶本平兵衛」。 「梶本平兵衛」。 「同じく名古屋市新町通り二丁目」。 え~ 名古屋市新町通り二丁目」。 「今度 堺から 名古屋へ 包丁の出店 出そうと思てんねんけどなチラシの所書き それで分かるか?」。 「どなたも お土産 どうどすえ?おちりに あんぽんたん西の洞院紙はよろしおすか?巻きすもじの おいしいのはよろしおすか?どなたも お土産 どうどすえ?おちりに あんぽんたんあんぽんたん。

『難波の芦も 伊勢で浜荻』ってなもんや」。 大阪の造幣局の金を掴みてみぃ」。 そんな所 寝たりしぃないな船頭に怒られるで」。 そんな所へ寝なはったったら 船頭の通り道じゃで 邪魔になるで退きなされ~。 船頭だったら客の頭 どつく奴があるかい」。 船頭しとりますがな 客の頭をどついたりは しませんでな~。 どつかれたっちゅうならどつかれたっちゅう 書き証文持っとるかい? 書き証文」。 どこの世界にどつかれるのに 証文 書いてどついてもらう奴があるかい。

な?ああ 言うてても いたって気のええもんや 『馬方 船頭おちの人』っちゅうてな口は悪いけどいたって 気のええもんや。 馬方かて 見てみぃ な?馬の手綱 持ったら年中 口汚のう ぼやいてるが『ど… ど畜生。 な~?船頭はんかて あないして荒い言葉で言うさかいこの 大きな船が動くねん。 お女中じゃで あと一人お頼き申しますでな」。 「お女中じゃで あと一人お頼き申しますでな」。 「いや そこをお女中じゃで あと一人お頼き申しますでな」。 「そこをお女中じゃで あと一人お頼き申しますでのう」。

このとおり 船は いっぱいであんた一人 ゆっくり 座って大阪まで帰るってな贅沢な事 でけしまへんけど私の膝の上でよかったら 大阪まで辛抱しはりますか?』って。 もっと こっちへ おいなはれ』てつまり 二人はこう こうこういう こういう形でこういう形のままヒシ~ッと 抱き合うたまま大阪まで下りまんねんな~」。 『私とこ和泉町 松屋町 ちょっと東へ入った所ですねんわ』。 『こんな事言うてても なんでっさかい一緒に乗りまひょか?』。 かじ棒 上げた拍子に 二人の頬べたが ペタッと ひっつく。

女子はん 表の戸をトントンと 叩くと中から 女子衆さんが泳ぐようにして 出てくる。 お家へ上げてもうて渋い茶 飲んでると 女子はん女子衆さんに 目で合図をする。 女子衆さん ポイと 表へ飛び出す。 女子衆さん 菰被りの口 キュッとひねると トットットットッ トットットットッ。 女子衆さんが これを様子しながら 運んでくる」。 ♪「チャブ~ン チリ〜ン トップ〜ン」「よう 喋る人やな この人は」。 「何でんね? その チャブ~ンチリ〜ン トップ〜ンっちゅうのは」。

『阿呆らしい 家で角の生えるもんっちゅうたらナメクジか デンデンムシ』」。 女子はんの裾が乱れて 下から燃えるような緋縮緬の長襦袢。 こりゃね 大阪へ帰った時に女子はんと 一杯 飲む手付けになったに どなたもけなるい事 おまへんか?一遍 あやかれるようにね頭の上を こう「どうぞ よろしゅうゲヘヘヘヘッ うん」。 「あっ お婆さん 心配せんでよろしあんたの荷物はねこの人が 親切に頭の上へ吊ってくれてはりま」。