明治の御代という事になりまして今までのお侍 これには それぞれ奉還金ってぇものを与えましてそして士族という事になりました。 え~ そして この士族授産なんて言いましていろいろ 農工商に変われという…勧めましたがなかなか うまくいきません。 「士族の商法とかけて子供の月代結局は 間へ入った者にうまい つゆを吸われたというのが実際のところだったようですが。 奥とも相談の上 まず汁粉屋がよかろうという事になってな。 汁粉屋なれば う~ん砂糖の灰汁の抜き方ぐらいは奥も心得ているようだ」。
開業式早々 雨にでも降られたらこらぁ 面白くねえと思いやしてね腹ん中で案じておりましたがいい塩梅にも 何事なくどうも 旦さんおめでとうございます。 「ええ 今朝 早速ね え~気の変わらねえうちにと思いまして 讃岐の金毘羅様へ 3年の間 酒を…」。 貴様に一杯 馳走してやろうと思って これへ呼んだのだが思うんで… ですから讃岐の金毘羅様の門の所へ天狗様が パッと着いた拍子にこっちがスッと よそうという寸法…」。 今朝ね 讃岐の金毘羅様へ『3年の間 酒を断つ』ったっきりねどうしても そのあとが出てこねえんで。
そうそう 旦那のお供してああそう あのね 旦那の敵娼はちょいと おつな女でしたよ。 ほら 旦那お… 覚えてやしょ?お引けんなる時にねえ若い衆がね 嫌みな事 言った。 『ふざけた事をぬかすな!俺を誰だと思ってんだ!?』つったら旦那が飛んできて『まあ よせ。 ええ?こんな職人が どこにある!下流しから 料理から 2階から出前持ちまで やるんでぃ!何でぃ!」。 「旦那様 いまだに金が戻ってまいりません」。 「だから 口入屋へ行きなさい口入屋へ。 ええ? 口入屋で職人を探して…」。
「どうも 旦那なん~とも申し訳ござんせん。 今朝 ひょいっと目が覚めたらね脇に赤い布をかけた姐さんがいるんであっ こいつは しくじったなと思って 今 大急ぎで帰ってきてお花さんに聞いたらねあっしが旦那に酔っ払って 毒づいたって。 そんなバカな事は ねえでしょ?ねえ 何で 旦那に あっしが毒づかなきゃならねえんでぃ。 どうか 旦那 どうぞ ひとつ…ご勘弁を願います」。 旦那 片口 捜して下さい」。 「旦那様 いまだに金が戻ってまいりません。 今日は帰ってくる気遣いがございませんから 休業…」。