古典芸能への招待「猿若江戸の初櫓」「梅ごよみ」

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この番組のまとめ

♪~続きまして 江戸情緒あふれる世話物の名作「梅ごよみ」を お届けします。 明けわたる空もみどりに大江戸の 富士の山 喜びの雲これ 猿若。 コレ コレ 流石は名高き大江戸城見事な事であるわいのう。 よい よい よい よいよい声 合せ 二倍 三倍 四倍 五倍 そこに生るる 京の町衆の だんじり囃子 チンチン コンコン コンチキチ 山車の引綱 えいと引く 新発知 幕引く 気を曳く 袖曳く 後を曳く恩に着ますぞよ。 はい 私は歌舞伎一座のおどけ者猿若めにござりまする。

太夫!猿若!太夫! 太夫!かなった かなった かないました。 こうなったら 京の御所での舞姿目出たく ここで御覧に入れ猿若舞のありようを…。 猿若舞を 御所望猿若 勇んで 上覧に入れんと致しましたるところ。 猿は山王 参りたり 東下りの殿はもたじな 猿若一座の出し物は 獅子の舞 袴落しや 釣狐 初櫓 鶴も舞うたるおい 喜助今夜 梶原様のお抱え屋敷でまた来るからな。 俺が家を出た後すぐにおめえも店を飛び出したと人づてに聞いて心配をしていたんだがおめえも随分苦労をしたんだねえ。

さあ 拙者も売払いたいのは山々だが彼の残月の茶入と申すは畠山家でも大切な重宝。 今 ちょっと聞いて居ればあの左文太という侍が残月の茶入をば隠して持って居る様子。 顔へかかりし青柳の びんのほつれは誰と寝し めだし紅葉の いろに出て 浮名の立ちしいつぞや俺が 唐琴屋を追い出された その後であの米八も廓を抜け此の深川へ住替していっそ 今夜は帰ろうか。 目立つ岡目の 燈籠も 灯影しとうて 網手のばちに 白魚の本当に お前さん位雨と米八っつぁんを怖がる人も少ないねえ。

羽織 此の羽織は…桜川の由次郎が 下谷の旦那に拵えて貰ったんだがこれから行く座敷へはちょいと遠慮の紋所だから取替えてくれろと頼まれて先刻 着替えてやったんだ。 由次郎さんに言訳が立たなきゃあちきが 由次郎さんに逢って謝るからお前さんはさその前に由次郎さんに逢って米八が謝りに来たら 何処までも自分の羽織にしておいてくれとよく打合わせをして置きな。

せっかくの藤兵衛さんのお扱いではござんすが今 売り出しの仇吉がこんな恥をかかされたとこれが 世間にパッと出た日にゃあたしゃ この土地にゃ居られませんからねえ。 そりゃ 一応もっともだが喧嘩は 留手のあるのが花。 世話になって居る義理もありそれに つながるおめえ達も決して悪いようにゃしねえから姉妹同様に 仲好くしてくんな。 それはそうと今ここへ来る途中でだが 後んなって喧嘩の蒔直しゃ ごめんだぜ。 もうもう喧嘩なざしやしません。 皆さん 此の度 この深川に色を争う羽織衆が近年稀なる大喧嘩。

騒々しい二人がいなくなったので急に 家ん中 静かになりました。 今更 改めて云うまでもないがあの茶入ゆえ 家は勘当。 本田様のお情にて百日の猶予を願いし日限りも目前。 もしも 茶入が手に入らずば死ぬよりほかに仕方はあるまい。 一体 何がそんなに口惜しいんだ?米八っつぁんに羽織をふまれた事がさ。 万更 おめえの顔のたたねえような事はしねえ積りだから余計な心配しねえがいいよ。 茶入の事を頼んだ時から丹さん こりゃア 聞いてやらざアなるまいねえ。 余計な念を押さねえでさあ スッパリと消してくれ。

何の つまらねえ 今しがた桜川の由次郎が来たからさ。 由次郎さんが 島田に結って…。 何なんだ お前さん何かって言うと由次郎 由次郎って由次郎さんが そ…。 今日 忍んで参ったのは余の儀でない半次郎は 当家に居るか。 その半次郎様は只今 お出ましでございますがして その半次郎様に御用とは…。 お家の重宝 残月の茶入を紛失させたる半次郎お待ちなされて下さりまし。 半次郎様は只今では 性根を入れ替えられ茶入の詮議に心を砕いておりますれば何とぞ 今暫くのご猶予を。

それが癪に障るんですよたとえ 旦那がどう お思いなさろうとも米八っつぁんには 丹次郎と云う好い男の亭主があるんですよねえ 米八っつぁん。 ああ もし左文太様暫くお待ちなすって下さいまし。 様子は蔭で伺いやしたがそれは米八の不調法は申すまでもねえこと。 然し場所が場所でございますからえ~ じゃあ 如何あっても勘弁はならねえで米八を切るとお云いなさるのかい。 口幅ってえ事を云うようだが俺も深川佐賀町じゃあ人に知られた千葉の藤兵衛。