日本の話芸 宝井琴梅 講談「正直車夫」

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この番組のまとめ

♪~♪「ちょいとお待ちよ 車屋さん」♪「お前 見込んでたのみがござんす この手紙」出囃子で高座に上がらせて頂きましたが。 え~ 今 人力車というのは観光用に使われておりますが昔は 庶民の足代わりとしてまあ なくてならない乗り物でございました。 ちょうど夜の8時ごろ上野の三橋のそばに梶棒を下ろして客待ちをしていた 一人の車屋。 「貴様 その…服装違反をしておるぞ」。 服装違反じゃ。 あの~ この人力車というのは明治の時代えらく普及を致しまして東京だけで人力車の台数が3万台。 まあ 新時代の花形労働者ですよ。

服装違反という事は 本来なら厳重に取り締まらなければいかんのであるが事情を聞いてみると気の毒なもんじゃ。 ガラッ ガラッガラガラ ガラガラ ガラガラ ガラガラ ガラガラ。 この橋のたもとに江戸時代から明治にかけて名高かった「かわばし」という大きな鰻屋の店がございました。 その中を車屋さんが汗をかきながら ガラガラ ガラガラ ガラガラ。 さあ 渋谷見附を越して 新橋芝 増上寺の山門を右に見て三田の四国町まで。

まあ ただ これ明治半ばの十円札ときたらあの総理大臣の伊藤博文は2,000円ですよ。 え~ ですからね黒田は 1,400円 毎月これ 月給で もらってんですからその中の10円なんてぇのはどういう金額ではないでしょうけれどもただ 庶民にとっては十円札 一枚でこれ 1か月暮らしができるんですからねまあ 大変な金額ですよ。

いや この十円札はじゃ 返してもらう。 え~ あの下谷御徒町2丁目 番地が18で小林庄吉という車屋でございます」。 「あ~下谷御徒町2丁目 番地が18小林庄吉か」。 下谷御徒町2丁目です。 ゆうべねその 莫大もない十円札なぜ お前さん それもらってこなかったんだよ?」。