それは なぜなのでしょうか？研究者たちは 人間の心に潜む悪魔の正体を突き止め邪悪な衝動を消し去り人間性を善なる方向に導く手段を探しています。 心理学者や神経科学者は悪魔とは 私たちの心が生み出すものだと証明してきました。 神経科学者のクリスチャン・キーザースは人間の残虐さが何に由来するのかを知りたいと思っています。 そのために 人間同士の「共感」つまり他者の考えや感情を特定しそれに反応する能力を研究しています。 我々が研究している「情動的共感」の活動が見られる部分は脳の表面ではなく内部にあります。
人が破壊的な行動をとらないよう行動の指針となる 道徳的なシステムが必要になってきます。 その結果 人間は極めて初期の段階から道徳的本能のようなものを備えている事が分かりました。 しかし邪悪な行動をした人たちに選択の余地はあったのでしょうか？神経科学者のデヴィッド・イーグルマンは人間の精神を長年研究した結果恐ろしい結論に到達しました。 解剖すると脳に クルミくらいの腫瘍があり抑えつけられていた悪魔が顔を出し人間を邪悪な行動に駆り立てる事があります。
チャールズ・ホイットマンが凶行に及んだ原因も脳の腫瘍だったのでしょうか？彼は 凶暴な衝動を コントロールできなかったのかもしれません。 短期的な衝動を抑える長期的な思考力を自らの意志で強くできるんです。 ただし この技術は一見 正常に見えながら邪悪な行動を平気で行う「サイコパス」には通用しない可能性が高そうです。 サイコパス的な脳の構造形成には少なくとも ４０の遺伝子が関係しているとファロンは考えています。 凶暴性や自己陶酔性 殺人を犯す傾向などに影響する遺伝子です。
彼は 家族や友人にサイコパス的な特徴が自分に見られるかどうかを尋ねてみました。 どちらが本当のファロンなのでしょうか？これほど殺人者ならではの特徴を持ちながらなぜ 自分は殺人者になっていないのか？遺伝子や脳の構造で これだけ危険因子がある事を思えばリスクの高い遺伝子や 脳の構造が現在 悪を排除するための過激な方法が研究されています。 スイスの神経経済学者クリスチャン・ラフは神経科学を利用してしかしそれを実行する人が増えたら社会は すぐにも大混乱に陥ります。
異議あり！この模擬法廷はジョーンズの研究の一環で犯罪者・裁判官・陪審員の思考の流れを探るものです。 神経科学を法廷に持ち込もうとする試みは現在の裁判制度は 被告が罪を犯したかどうかだけでなくその時の被告の精神状態まで見極める事を陪審員に求めています。 ジョーンズの研究によれば被告に罪を犯す意志がどの程度あったのかを陪審員は 正確に判断できません。 「罪を犯す意志」ではなく「結果」重視で人を裁く意志決定の仕組みを ジョーンズは神経科学的に研究しました。