毎年 春になったら3月に 相撲あるやないか」とおっしゃると思いますがご案内いうては と思いますけども谷町に住む そのお医者さんが相撲取りを贔屓にしたというそっから始まった言葉やそうです。 あの~え〜 主人公ですけどもなこれは 相撲に凝ったために贔屓にしたために親代々の財産を全て失うてしもたという男。 まあ 女将さんが おっしゃるのは『長年にわたってご贔屓を頂いた 大黒屋さんの事でおますさかいにもう どんな事でも聞かしてもらう』とこない言うてくれてはりまんの。
「今から 去る3年前わしが 『江戸の相撲へ行きたい』と申しましたら『そら ええこっちゃ。 立派な相撲取りになって帰ってこいよ』と言うて下さいました その言葉を励みに この度 なんと江戸の大関にまで上り詰めてござります」。 「えっ! お前!え… 江戸の大関になったん!?は~ そらぁ 知らなんだめでたいなあ。 相撲一途やぞ。 勝ち越したというてはご褒美を 『今日の相撲は見事や』と言うて ご祝儀を賜りまして。 江戸へ行ってもな相撲よりほかに身をやる事はないぞ。 相撲一途じゃ。
「え~ そんな事でなえ〜 関取 えらいすまんがなえ~ 幸助さんに 50両を返してやって頂きとうございます。 わしら相撲取りはな芸人でございます。 ご贔屓衆よりご祝儀を賜りまするによって頭も下げます。 「旦那様… 大黒屋の旦那様…いや 幸助さん。 扇屋の女将さんはなそれはそれは情け深い人やと聞いとります。 幸いな事に この大黒屋さんは雑穀屋さんですから店を開けるなり方々から買いにまいります。 本町の田中屋さんへ行てまいりまして2,500ずつ持ってこい』てこんなご注文を頂いたんでございます」。