え~ JRも走っておりましたがその時分には省線電車なんて事をいったもんでございます。 え~ それから 今 地下鉄が縦横無尽に走っておりますがその時分もございました。 渋谷出て 青山 赤坂 新橋銀座 日本橋 神田 上野広小路それから 浅草と。 切符に この ハサミを入れる駅員さんは いるんですが先 料金頂いてますから。 また 浅草というのは 大変に東京でも有数の歓楽街でございます。 で この中の四万六千日でございますがこれは何だってぇと その日一日お参りをするというと四万六千日分の御利益がある。
「プッ 聞いたか? 今の声を!『野郎ども』って声をよ!小言だよ。 たまにゃ 手銭で一杯やりてえと思ってねぼうず 行ってねあ~ すっかり酔っ払ってね客と喧嘩して徳利2本 皿3枚 欠いたんだが親方の耳に入ったかな?」。 ここで頭下げてりゃね小言は 上 通り越すよ」。
いや~ ここにおいでになる若旦那まあ 長え事 うちにいなさるがああ そりゃもう女の子なんざはねうっちゃっておきませんよ!よう よう! 音羽屋!」。 ついちゃ みんななあ『若旦那 若旦那』って呼んでるが若旦那って船頭はねえや。 じゃ 若旦那 明日っから…え? 『今ここで やってみろ?』。 じゃあ 若旦那やらしてもらいますがあっしらねえ口が ぞんざいですからねえ丁場が離れてるってぇとね『お~い』ってな事を言わしてもらいまして『お~い 徳や〜い』ごめんなさい」。
すまねえがな大桟橋へ やってくれ」。 いえ それが 今日は四万六千日様でございましてお舟が出払って おりませんので」。 大丈夫だろ?」。 「大丈夫でございます。 これで秋口になってね うんえ~ 品川沖へ舟を出して取れた魚で一杯やるんだい。 威勢をつけて鉢巻きを致します」。 「じゃ 女将さん行ってまいります」。 「それじゃ 行ってらっしゃいまし」と船宿の女将が舳端へ手をかけて送り出します。 何の足しにもなりませんが大変に愛嬌のあったもんだそうで。 「入れてんですよ 女将さん。
ええ?挨拶はいいけど お前舟が回るよ 舟が回るよ!」。 え~ もう ここまで来れば大丈夫ですよ ええ。 いや あっしも 昔は随分やってたんですがねおじさ~ん! あの お客さんをね大桟橋まで送ってきます」。 「あ~っ! 徳さん一人かい?大丈夫かい?」。 「おっと おい 何だ 大丈夫か?」。 「大丈夫だよ 臆病だな。 なあ 若え衆 大丈夫だな」。 「ええ 大丈夫でございます。 ああ その こうもり持った旦那すいませんがねこうもりで 石垣突いて下さい。 その 火箱 取ってくんねえか。