フランス料理ですとか…もっとも 「フランス料理」なんて言わないですね。 じゃ 日本料理は「ジャパニーズ」と言うのかというとそれは あまり言わないようでございますね。 フランス料理なんかでもってもこう ワインを…。 「ワインリスト」なんて。 ワインリストでございます」。 まあ お料理というものがお時間をかけて召し上がる。
目と鼻の先にいながらついつい 敷居が高くご無沙汰ばかり致しております。 旦様 ご壮健で何よりでございます。 本当にご無沙汰ばかりでございます。 旦様 ご壮健で 何よりで…」。 金さん 『無沙汰 無沙汰』とおっしゃるが今朝 朝湯で会いましたよ」。 「朝湯から こちらご無沙汰ばかり…。 旦様 何か御用…？」。 は～ それを旦様が おやりになる。 灘の生一本ですがひとつ 飲んでみて下さい」。 「灘の生一本？私 灘の生一本というお酒があるという事は伺った事はあるんですがまだ頂戴した事がないんです」。
「これが灘の生一本。 これが灘の生一本。 まるで水を飲むようでございますがこれ 水じゃないんでございましょうね？は～ これが灘の生一本でござい…初めて頂戴をさして…。 あの 鯛のお刺身召し上がってみて下さい」。 「鯛のお刺身？私 鯛のお刺身があるという事は伺った事ありますがまだ 頂戴した事がないんでございます」。 はっ う〜ん！うんこれが灘の生一本でござい…」。 「鰻の蒲焼き？私 鰻の蒲焼きがあるという事は伺った事あるんですがまだ頂戴した事がない」。 これが 灘の生一本で…」。
「ゴホッ！ ゴホッ ゴホッ ゴホッ…。 アハハハ。 金さんいや 妙な顔しなくても大丈夫。 いえね 今 ちょっとね あのお芝居を思いついた 茶番をね。 ゴホッ ゴホッ。 ゴホッ ゴホッ ゴホッ…。 だから 私ね 今日は あいつをギャフンという目に遭わして根性入れ替えてやろうと思ってねそれで 今一芝居 思いついたんですが。 今 あの六ってぇやつが来ますからねここに お前さんがいるとちょいと芝居がやりづらいんでそっちへね… うん そうそうそっちの部屋へ。
灘の生一本ですがね」。 「フッ 灘の生一本ね。 お料理鯛のお刺身 召し上がって」。 よくね 刺身は鯛がいいの 平目がいいのって。 「どうせ 養殖でしょ？ ねえ」。 そんな養殖なんてぇのは食えたもんじゃねえな」。 養殖の方が 何てぇのかな味が こっくりしてるってぇのかなうん。 お前さんなら知ってるかね？私の友達がね台湾に遊びに行って土産に買ってきてくれたんですがね。 そうだ！お前さんなら知ってるかなあ？台湾の名物で『ちりとてちん』ってんだけどね」。 「台湾の名物で『ちりとてちん』？」。
「台湾の ちりとてちんやってみて」。 「これ 台湾で しょっちゅうやってたんでしょ？食べ方に お作法とか何とかあるんでしょ？」。 台湾 行くとね粉末もあるんですよ」。 「粉末？ へえ～。 粉末は どうやって食べるの？」。 「粉末は 何ですよおまんまの上にねふりかけみてえに パラパラッとかけたりね 茶漬けで サクサクッと食うんですよ。 あの 粉末も『ちりとてちん』っていうんですか？」。 「ううん！ 粉末は『ちりとてちん』っていいませんよ。 粉末だもん。