今日は この清兵衛さん清正公様の裏長屋の方へ鉄砲笊を担いで…。 手前 もう『紙屑清兵衛』なんていわれておりまして屑を扱うのでも紙が専門でございます へい。 「うん? こんな貧乏長屋からこのような仏像が出てくる事を胡乱に思うてるのではなかろうな。 わしは 浪人はしておるが千代田卜斎というて昼間は 近所の子どもを集めて素読の稽古夜は 芝へ出て売卜を商っておるがこのところ 雨を食らうやら風邪をひき込むやらでのう。
「これ これ これ! 屑屋!」。 よしこの先にな 御門番がいるから『高木作左衛門のところへ通る』と言って わしのところへ参れ」。 「そうか? 承知か? よし!良助!ああ この屑屋になあ400文 払ってやれ うん。 そこが剥がれた途端ザラザラザラ~ッと出てきたのが桶の中に小判!「あれまあ! あら 若旦那さん!こら えれえ金儲けでごぜえますなあ!は~ 小判!まあ 仏像は400文!」。 「これこれこれ 屑屋!被り物 取って 面上げろ!」。
細川様の ほら 長屋門の下」。 まあ お琴のお稽古か何かして気を紛らしてるという訳なんだけどある日 お稽古の帰りあまりの きれいなお嬢さんにのぼせ上がっちゃった若侍がいたんだね。 襲った若侍は とてもそんな村にはいられないというので江戸へ一人で逃げてきて屑屋になって身を変えたとこういうこった」。 「ところがねあの若侍が手裏剣の名人。 逃げるやつに向けて あの窓からバ~ッと手裏剣を投げる。 「あっ それだ それだ!分かった! 仏像って何だい?うん 阿弥陀様?古い? あ~ 分かった。
実を言うとなあお前から買ったあの仏像 阿弥陀様。 そこが剥がれるとあの阿弥陀様の腹の中から45両という小判が出てまいった。 聞けば浪人者が暮らし向きに困ってあの仏像を手放したという。 わしは 仏像は買ったが 中の小判までは買った覚えはない。 『仏像は買ったが中の小判は買った覚えはない。 「うん?先祖伝来の仏像を売り払うようなそして また…先祖が困った折にと隠しといてくれたその心の読めぬやつに天が この金は授けなかった。 そういう訳でね 千代田先生。
高木作左衛門に20両千代田卜斎に20両余った5両を 正直清兵衛にやっちゃもらえないだろうか。 若い高木作左衛門二つ返事で承知をしたんですが千代田卜斎…。 高麗から渡ってきた茶碗で長い事 喜左衛門という方が所有してたんで俗に「喜左衛門 井戸の茶碗」。 これが 千 利休から豊臣秀吉公に献上されたが関ヶ原の合戦以来行方知れずという事が分かった。 お下げ渡し金というので300両という金が高木作左衛門のもとへ。 その 何てぇかな? あの~お殿様が鑑定してみたらばね…そうそう『土左衛門 井戸の茶碗』」。