このロームシアター京都は半世紀以上にわたって京都の文化の殿堂として親しまれた京都会館が改修され去年1月に リニューアルオープンした新たな文化発信拠点です。
この「義経千本桜」の知盛も今までに この顔見世ではこの知盛は演じてなかったらしいんですよね。 それでは「義経千本桜 渡海屋・大物浦」あらすじを ご紹介します。 源平の戦いは 壇ノ浦での源氏の勝利 平家の滅亡でしかし 平家の武将 平 知盛は安徳天皇らを引き連れひそかに戦場を脱出していました。 さて 舞台は 摂津の国現在の兵庫県尼崎大物浦の船問屋 渡海屋です。 渡海屋の主人 銀平は勝利を収めながら兄 頼朝に追われる身となった源氏の大将 源 義経に心を寄せる様子を見せます。
止むる女房はね退けて 無二無三に つけ入るを 何の苦もなく突き放しお前は こちの人。 私は 即ち 此家の亭主渡海屋銀平に ござりまする。 見ますれば 女房共が不調法を致しましたとやら。 身は北条が家来相模五郎と申す者。 此度 義経主従 討手のためこれまで まかり下りしがここ四五日の風雨につき舟 一そうも調わず奥の武士が借りたる舟身共に借らん為に奥へ ふん込み身が直々に云おうと云えばわれが女房が さえぎってとどむる故に かくの仕儀だ。
こちの人が問屋廻りで留守をしております間お天気はよし 若いものの着る物から 子供の物までこちの人が問屋から戻ってきて門口から大きな声でヤイ 阿呆め此様な天気に洗濯をして何を言うぞ この天気によう干し上ぐることはかのうまいと申しまする。 平 知盛 幽霊なり 実に良将と知られける我も亦 渡海屋銀平とは仮の名新中納言知盛と今ぞ実名 現わす上は。 末座に身をかため玉体は二位の尼君 抱きまいらせ知盛諸共海底に沈みしと あざむき時節を待ちし甲斐有て今月今宵アラ嬉しや 悦ばしやナ。
目出度き門出祝うて 一さし。 此上は 知盛のよい吉左右を待つばかり。 知らせを今やと待つところへ 知盛が郎党 相模五郎 息つぎて 走せ来り御注進 御注進。 待兼ねし相模五郎してして 様子は 如何なるぞ。 某は取って返しご主君 知盛の御先途見届けまいらせん。 一間の襖 押明くれば 提灯松明 星の如く 手に取る如く見えにけるアレ 御覧ぜよあの中に 知盛の おわすらん。