♪~変えられまして 笑福亭松喬でおつきあいを願います。 皆様 ご周知頂いてると思いますが私 30年間前名の三喬でございまして。 笑福亭松喬でございます」。 下ります折にはやっぱ 流れに乗りますんで6時間から8時間かけて大阪は天満の八軒屋へ伏見の浜から下ってまいりますが上りの船となりますとそれでも進まん時には船頭さんが陸へ上がりまして一生懸命 艫綱を引っ張ったんやそうでございますな。 大水が出ますと 丸一日 24時間かかってたんやそうでございます。 「今橋通り2丁目」。 「今橋通り2丁目」。
「愚僧かな?愚僧は比叡山延暦寺が僧横手のおばあさんは?」。 みずからは小野小町」。 「えげつない小野小町やなええ?汚い。 「竹内秀夫や」。 「へい 竹内秀夫」。 「長嶋茂雄」。 「田淵幸一」。 我一番に 一番の船に乗ろうとゾロゾロ ゾロゾロと階段 下りてまいります。 一番も二番も えろう 大阪へ着く時刻は変わら致しまへん。 皆が我一番に ゾロゾロ ゾロゾロと一番の船に乗り込みますとそれを当て込みました京都の女子衆が土産物を売りに近づいてまいります。
「『京言葉 京言葉』 むかつくやろ。 俺はね 京言葉むかつくねやなあ。 「ほう? どんな病気でも治るっちゅうの? ほな おめえ大阪の造幣局の金をつかみてみぃ?」。 いやいや あんたね 三十石初めてでっしゃろ? わい 年に何べんも… わたいは 何べんも乗ってまんねん。 これ寝込んで キツキツで乗ってたらもう 足腰 痛うなってしょうまおへんねん。 「いやそうかしれませんけどそのお女中が 一番の船で大阪へ帰りたいちゅう気持ちわたいらと一緒でんがな。 わたい そのね お女中を 最前船宿の2階で見たんや。
『松屋町 和泉町ちょっと上がった所でんのよ』。 あれ 川ん中 放り込んでお女中 乗してったら どないや」。 松屋町 和泉町 上がった所でコトンと梶棒が落ちる。 姐さんが駄賃を車屋へ渡していなしてしまう。 「この お女中のうちにいてる女子衆でんがな」。 「え~? 女子衆 置いてまんの」。 このお女中はどっかの お手かけさんですわ。 旦那が ちゃんとねお女中を置いてくれてますわ。
いや 大水でな一日 三十石が出なんだんやわ。 わたいがね煙草 吸うてるっちゅうと姐さんが スッと部屋着に着替えて『にいさん。 仕出し屋の若い衆が注文 受けて小鉢物の2つ3つ提げ箱 提げて持ってくるわね。 しばらくしたら姐さんが 卓袱台の上へきれいに拭いたところへ仕出し屋が持ってきた小鉢物の2つ3つ 並べる ね。 チャプリ~ン チリ〜ン トポ〜ン」。 揺れまっしゃやろ?揺れた音が チャプリ~ン。 ほたら まあ一杯だけ 頂戴致します。
どうです?これ受け取った瞬間から一杯飲んで ねんねしまんねんでお女中と。 「おお お女中よそこ 鮎めが跳ねますでな気ぃ付けて こっちゃ上がっておくんなはれ。 わたい引っ張りますでな お女中。 お女中 来はりましたで。 荷受けのお女中 来はりましたで」。 お女中 来た? お女中 来…。 お女中は?」。 「いや おばんかて お女中じゃ」。 船頭さん 乗りまえが決まりますと三間半赤樫の櫂を一つグ~っと 岸を離れますと船は ドボン チョボチョボ ドボン チョボチョボ。