♪~士農工商といいまして人間に身分があったという。 どっかの殿様の目に留まってねえ何か側室だってんでお屋敷 奉公に上がりましたが。 大変な出世だ うん。 うまくいかないって事はないがいきゃ お目録頂戴は間違いない」。 丸の内の赤井御門守様。 ああ 立派な御門があってなそこに御門番さんが おいでになるからそこへ行って『いずれへ通る』と言われたら『御広敷へ通ります』と。
下は『ござる』とかあるいは『奉る』とこう言やあ 言葉ってものはだんだん丁寧になるもんだ」。 「履物? いいよ お前の履いてる下駄でも草履でも」。 今時分 御殿女中が俺の噂してるだろうね。 『お鶴の方様のお兄御様のお面つきはどうでござり奉りましょうや』か何か言ってんだから。 今日辺り もてるね。 ハッハッ 門番がいたよ。 「御当家に? 何用じゃ?」。 お宅の大将のれこがあっしの妹なんだね」。 「これこれこれ! 無礼な事を!『田中三太夫という人』と言うやつがあるか」。 「左手に お馬場があるわ」。
「田中三太夫ってぇ… 殿にね会いてえんだ」。 田中殿に うん。 名前」。 「あっしの名前? ええ。 八五郎ってんです」。 「八五郎」。 「あなたね そら 日本人の名前でね『ちょうろげえ』なんてそんなのある訳ねえでしょ?八五郎ってんですよ 八五郎」。 田中殿も先ほどから お待ち受け。 「いや 堂々巡りでしょ?」。 「堂々巡りではない。 一緒に参る事を『同道』」。 「いや 名前が分からねえんでね。 「おお 八五郎殿か。 帰り 一人だと困るからねあの~柱んとこへ 小便をひっかけて目印に」。 「御前間近じゃ」。
これでおもくもく くんなかったら大家 張り倒してやる。 お鶴の方様 お兄御 八五郎これに控えおりましてござります」。 「おお鶴の兄 八五郎とは その方か。 「どうじゃ?三太夫 いかが致した?」。 いや 三太夫知らんのである。 ええ?うん いや そら 聞いてきた大家に うん。 大家のおでこぼこ様がお呼び奉りまして大家様のお呼びならお店賃様の お催促様じゃねえかと思いまして。 「三太夫。 そしたらね『大家が呼んでる』ってぇからどうせ ちんたなの催促だろうと思ったんですがね『そうじゃねえ』ってんだ ええ。
殿様。 八五郎 遠慮のう飲むがよいぞ」ってんでさあ これから御酒下され というやつで。 「いや~ 殿様すいませんね もう。 「あれ? おい!殿様の脇ぃ しゃがん…。 何だよ おめえお神楽の衣装みてえなそんな お前ピカピカ光るの着てるから分かんなかったよ あんちゃん。 こうやって ピッピッと こうやってな。 このね ピッピッ。 ハタキ持って長屋中『初孫だ~ 初孫だ』って。 どうでしょう 殿様。 今度 殿様の寄り合えがあったらト~ンと ぶつけて下さいよ。