最初にNHKの方が説明されましたです。 携帯電話鳴らないようにお願いしますよ」。 さすがNHKのお客様は違いますね。 NHKのお客様は 本当にいいお客様ばっかりでございましてね。 まあまあ 本当にありがたいお客様方の前で 落語できる。 我々この… 今は義務教育というのがありましてありがたい事に 字が読めたり書けたり ごく当たり前のようにしておりますけれどもね。
「『何してんねん』って いやわい 今兄貴に手紙 書いてんねん」。 「『兄貴に手紙 書いてる』?ちょっと待ちいな お前。 「代わりに書く商売」で代書屋さん。 代書屋さんという商売があったんやそうでございますが。 間違うてたらえらいすんまへんねんけどあの ひょっと間違うてたらえらいすんまへんねんけどあの 内緒屋さんというのはお宅ですか?」。 「いや うちは代書屋ですけど」。 「そうそう 代書屋です」。 「あれ?内緒屋と違うんですか?内緒屋と」。
ただでさえふだん 世間の皆さんから『アホや アホや アホや アホや』笑われてまんのにこれ以上 恥さらす訳にはいかん。 『おら これ以上恥さらすぐらいなら 切腹する』ちゅうたら うちのかかあ『切腹やなんて一服にしときなはれ』」。 「でね 何や聞いてたらこちらへ持ってきたら『世間には 字は書けんという事は内緒のままそ~っと書いてもらえるんやで。 お医者さん 『あんた 喉が弱いよ』言うてはったんでね『扁桃腺 気ぃ付けや』言うてはりましたんで『扁桃腺』と書いといて下さい」。
あんたが風呂屋の向かいでも散髪屋の隣でもよろしいねん。 え~ 次は 住所やが 住所は?」。 「いや 住所です」。 住所です」。 「住所… 分かりませんか?「お座りではありません。 あのね つまり あるでしょ?うちの親父も田中やったんですね。 田中さんですね? 『間違いない』。 え~ 田中彦じ…。 「春団治さんの『治』」。 あ~ さよか 春団治さん お好き」。 ドンガラガッチャ プップッ。 彦治郎さん ちょっと待って はい。 『彦治郎』と。 え~ 次 生年月日言うてもらいましょか」。
というのがねあんた 覚えてなはる?あの 御大典ちゅうて『天皇陛下即位 めでたい~』ちゅうて 堺筋へ ぎょうさん提灯行列が出ましたやろ?あの時に 私も 子どもの仲間から若い衆の仲間入りさしてもろた。 「そいでさ 『奉祝』と染め抜いた法被 着してもろてねねじり鉢巻き キュッと締めて提灯に 火ともして堺筋を北へ北へ 『エライヤッチャエライヤッチャ エライヤッチャ エライヤッチャ』」。
「小学校へ行てました」。 「小学校は誰かて…。 ここへ書けるように何という小学校ですか?」。 「尋常という小学校です」。 「『尋常』の上にもう一つ つきまっしゃろ?何々尋常小学校とつきまっしゃろ?その『何々』の部分言うて下さいちゅう事ですな」。 本籍地内小学校卒…。 あのね そういうのは中途退学と こない言いまんねん」。 「中途退学ち 言いまんねん」。
「こら ほんまに ちゃんと品物 並べて やったんだっせ」。 「え〜っとね一六が平野町で二七が阿弥陀池で 五…」。 「あっつまり 私 夜店出しやったん」。 「ああ 夜店出しなら場所は結構です はい。 え~ 『露店営業人として』。 「ヘリドメ売ったんです」。 「ヘリドメ売ったんです」。 ヘリドメ売ったんです」。 「ヘリドメ? ヘリドメ?ヘリドメって何でんねん?」。 ヘリドメ…。 『露店営業人として履物付属品を販売す』と。 もう 次から次へトントン トントン 言うてもらわんと困りますねや。