日本の話芸 宝井琴梅 講談「正直車夫」

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この番組のまとめ

♪~♪「ちょいとお待ちよ 車屋さん」♪「お前 見込んでたのみがござんす この手紙」♪「内緒で渡して 内緒で返事が内緒で来るように」♪「出来ゃせんかいな」はい 皆さん こんにちは。 え~今日は車屋さんの話をするので出囃子で高座に上がらせて頂きましたが。 え~ 今 人力車というのは観光用に使われておりますが昔は 庶民の足代わりとしてまあ なくてならない乗り物でございました。 ちょうど夜の8時ごろ上野の三橋のそばに梶棒を下ろして客待ちをしていた 一人の車屋。 服装違反じゃ。

でよ あの~ ほら 規則は破っちゃいけねえんだから俺の股引をよ 質から請け出してきてくれ。 まあ 夜の遅い時間ではございましたが質屋さんをたたき起こして股引を請け出してきました。 ん!あ~ おっかあ股引をはくとなあ綿の入った布団へくるまってるようでまあ ポカポカ 暖まってきたぜ」。 「おう!股引をはきゃ 百万力だで!てい! あら~よ〜!」。 ガラッ ガラッガラガラ ガラガラ ガラガラ ガラガラ ガラガラ。 この橋のたもとに江戸時代から明治にかけて名高かった「かわばし」という大きな鰻屋の店がございました。

さあ この車が神田の和泉橋から岩本町 紺屋町 鍛冶屋町日本橋本町から常盤橋を渡って皇居前の三菱ヶ原へと出てまいりました。 その中を車屋さんが汗をかきながら ガラガラ ガラガラ ガラガラ。 さあ 渋谷見附を越して 新橋芝 増上寺の山門を右に見て三田の四国町まで。 墨痕鮮やかに「黒田清隆」と書いてありました。 あの~ お金を こう 入れた財布を落としますとね「いや~ 流しの車屋にしては正直者じゃ。 あの~ 当時 偉い方のサラリー一等巡査で10円で 小学校の校長先生が13円から15円。

それからねこんな十円札をうちの長屋に持ってったらね『おい あいつの所には十円札があるぞ~!』ってんでこの噂が えれえ評判になるってぇと 夜中にね十円札を持っていくと。 え~ あの下谷御徒町2丁目 番地が18で小林庄吉という車屋でございます」。 「あ~下谷御徒町2丁目 番地が18小林庄吉か」。 「あ~ 下谷御徒町2丁目番地が18じゃ」。 2人の書生を連れて黒田清隆 やって参りました下谷御徒町2丁目です。 小林庄吉さんという車屋さんをご存じなら教えて頂きたいんですが」。

もうゆうべ 私 その話を聞いてさもう よっぽど言おうと思ったんだけども子どもが そばに聞いていてお父っつぁん おっ母さんがいたから もう 黙っていたけどさ今日は 親もいないし子どもも 今 遊びに行ってるから言うけどねその十円札があってごらんなね。 さあ 夫婦の者が ドッタン バッタンこら 夫婦喧嘩を始めたところへ黒田清隆が入ってきました。 「あ~ これ!夫婦喧嘩は よさんか!夫婦喧嘩は よさんか これ!よ… よさんか!」。