え~ 何か あの〜関西の方みたいに見台置いて しゃべってますけど別に 自分が関西の落語をやろうって訳じゃないんでございましてね。 まあ おかげさまで長生きさして頂いて自分事で申し訳ないんですけども私も 噺家になりましてねご先祖様なんてのはねまだ いくらか尊敬の念があるようですけどね中には シーラカンスだとかねミイラだとかいろいろ言ってますが私は 世界遺産じゃないかと思ってるんですけど。 私が噺家になった昭和16年12歳で噺家になった時最初に覚えた落語なんですよ。
おい 焼き始めたよ!みんな 店先おいで 店先へ!さあこの匂い うんと嗅いでね…。 「どうも お孫さんがおできになりましたんでねえ~ 何です 跡継ぎができた事大変 おめでたい事で」。 まあ せめて 生臭物…目刺しの1本や2本つくんじゃないかなんというんでみんなが うわさを…」。 食べさせないなんて近所に みっともないじゃない!みっともない事 言いなさんな!番頭のお前が 先出てそういう事言って どうする!おかみさんが そう言ったって?商人の女房がね みそ汁の実なんか買う事はない! いけません!」。
そんな事もないだろうけどさ外側は青々してるけど中が傷んでたりなんかするといけないからいっぺん 品物を見せて…」。 「おいおい 定吉 裏行ってな粗むしろ 2枚持っておいで。 じゃあ 八百屋さん その上へなつまみ菜をバッとあけてくんないか」。 両方合わせると山のようになりますな」。 定吉 お前も手伝ってなその粗むしろ両方から ポンポン ポンポンとはたいてごらん。 台所持ってってなよく女中に言っときなさいよ。 「うん? え~っとね一貫目 いくらだい?」。 「一貫目…あっ こちらが 20銭。
あの~ 何だよ 今度からね無駄なお金 使わないようにうちから ごはんをお弁当箱へ入れてきてうちのお勝手へ来てお上がりなさいよ。 うちは 家内が大勢だしお湯は チンチンたぎってるしねああ これはいいおっきないもだね こりゃあ。 でね 琉球から摩様へ献上して摩で栽培するようになってからさつまいもというふうになったんだがねあ~ 献上した おいもってのもこんないもだったろうね。 ハッハッハッハ!「あの~ 神田の竪大工町って申し上げたでしょ?」。 「ああ 竪大工町。
『時に いも屋さん お宅はどちら?神田の竪大工町だ。 金がかかっていけねえから今度 弁当箱持ってうちの勝手へ来て お上がり。 行く末は いも問屋だ』ってこう言いやがんだろ!そんな事言われておんなじ事ばっかり言っていもばっかり取り上げられちゃたまらねえ! 我慢 我慢でき…」。 天秤振りながら行くから いもがバラバラ バラバラ こぼれてら。 「うへ~ 旦那泥棒みてえな事をすんですね」。 「横町の仏師屋だ」。 「横町の仏師屋って何です?」。 「あ~ 位牌屋!」。 「位牌屋ってのがあるかい。
位牌? おばあちゃんの位牌出来てる 出来てる。 「大丈夫。 ブフェッ フェッウヘッ ウヘッ!」。 大丈夫か? 目ぇ回すなよ」。 「え~ 時に 位牌屋さん」。 うちは 位牌屋じゃねえや仏師屋ってんだよ」。 「え~神田の竪大工町だってんだな。 「位牌を買い出しに行くやつはいないよ」。 「位牌屋だって…。 仏師屋だよ!」。 「何だって… あっ これか?これ 位牌だよ」。 「位牌。 随分 小さい位牌ですね。 位牌をまけろだってよ。 うん? ああ 出来損ないか。 出来損ないだってさ。