日本の話芸 桂雀三郎 落語「船弁慶」

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この番組のまとめ

あ~ もう 間もなく本格的な夏でございますがねまあ しかし 大阪は暑いですな。 何で こない暑いねんかな思うぐらいですがまあ 温度も確かに暑いんですけども大阪は あれですね 大体が街全体が暑苦しいんですね。 まずね 大阪弁が暑い。 私 前に環状線の天満の駅のホームで電車 待ってましたらね暑苦しい おっちゃん3人連れがバ~ッと こう近づいてくる。 それで 大阪のやつは大体 声が大きい。 ほんまね 大阪弁 暑苦しいんです。 「おう この暑いのに お前よう精出して仕事してるやないかい」。

薦被り一丁 デ~ンと据えて飲み次第の食い次第ってやっちゃ。 唐松に 荒神松オチョネに コチョネと」。 「うわっ コチョネも行きよんの?俺 コチョネ好きや~。 今 わしが言うた中でやで『よっしゃ! 今日 わしがおごっといたる』ちゅうやつが一人でもいてるか? 皆隙があったら呼ばれとこかってそういうやつばっかりやないかい。 大体 いつも誰ぞ 旦那衆がいてるがな」。 たとえ 一人でも旦那衆がおったんでは飲む酒が身につかん。 今日は我か己かの友達ばっかりで気兼ねなしに飲むかっちゅうねん」。 一人前 3円や」。

いつも 人のケツにばっかりついてるさかいお供でばっかり行ってるさかい『弁慶は~ん 弁慶はん』言いやがんねん。 このごろ 弁慶はやらんって ひっくり返して『けべんはん』やなんか言いやがんねや。 同じ金出してて 『弁慶はん』やの『けべんはん』やの言われたら3円の割り前が泣くがな」。 「おい 喜公向こうは 玄人やで 商売人やで。 今日は お前 自前で来てるか弁慶で来てるか それぐらいの事ちゃんと分かるがな」。 そないして 毎日汗水流して もうけた銭や。

そのうち おっさんが 水くれとか薬のませとか言うもんやさかいもう とうとうお昼になってしもてなお昼ごはん呼ばれて帰ろと思たら『こんな昼日中 お日さんがカンカン照ってる時に帰らいでもせめて 片陰になるまで昼寝でもしぃな』。 「あのな あの~ ちょっと浄瑠璃」。 「浄瑠璃!? 置いてやぁ。 あんた あれ 浄瑠璃 語ってると思てんのんか?長い事 稽古してるこっちゃさかい我が連れ合いの事やいっぺんぐらい聞きに行ってやらないかんと思てこないだも行ったけど あんたあれ 何を言うてたんや。

昼日中から 用もないのに大きな風呂敷包み 背たろぉてウロウロして。 肩脱いでやったら どやねん?井戸水の冷たいのんで手拭い 絞ってこうか?氷いうてこうか?スイカにしなはるか?それとも 冷ややっこで 柳陰一杯飲んでやったら どやねん?まあ 清やん 暑いやないか~い」。 まあまあ それはええけどな今 喜公が言いよったあの浄瑠璃の会 あれは嘘や。 実はな こないだこの町内の風呂屋が休みの時な向こうの風呂 行ったんや。 友達同士のこっちゃ。

なら 嬶 笊籬 ざるの中へ銭 2銭入れてな『ちょっと おやっさん晩のおかずにするさかい焼き豆腐 買うてきと』ちゅうねん。 『買うてきたんで』ちゅうてわい 笊籬持ってポイと表へ飛び出したんや。 何やろなと思って見たらな鋳掛け屋が仕事しとんねん。 そのうちに 鋳掛け屋 仕事して銭もろて 行ってしもたんや。 それで 笊籬の中見たら銭 2銭入ってるさかいなとりあえず 2銭で買えるもん買うて… と思って根深買うて 戻ったんや」。

家の中へ ぞろぞろ ぞろぞろぞろぞろ 引きずっていって『なあなあ言うてりゃええかと思てうかうかしてるさかいこんな間違えができんねやないか!今日は ド性根の入るようにしてこましたるわい!』ちゅうなりバ~ン 足払いかけよって わいボテッと うつぶせに こかされてな嬶 馬乗りになって着物 くるくるっと脱がしていつの間に用意しよったんや知らん線香ともぐさ持ってきてわいの背中へこんな大きな灸据えやがんねん。

「えっ わわ… 割り前!?むちゃしいないな おい!あそこから ここまで1円も船賃要ると分かってたらわいも お前背たろうて泳いで…」。 今日は 散財しに来てんねや」。 「なんぼ散財でも 手荒いがな。 船頭はん えらいすまんけどなこの男にも ちょっと礼 言うたってくれるか?」。 今日は 同じ割り前やで。 今日は 同じ割り前同じ割り前やで ほんまに」。 今日は 同じ割り前 同じ割り前。 今日は 同じ割り前 同じ割り前。 今日は 同じ割り前 同じ割り前。

意地になって飲ましたもんですさかいこの喜公が 一番先に もう ヘベのレケレケに酔うてしまいよった。 ♪「ヤット ヤット ヤット ヤットコリャ コリャ コリャ コリャ~」どうや ぎょうさん 船が出てきれいやないか」。 上手から流れてまいりました竹を拾いますと川の真中へ すっくと立って~!よう~!「そもそも 我は桓武天皇九代の後胤シゴキを輪にしたやつを数珠の代わりに致しますと…。