え~ よく 楽屋で 「おい どうだい今日 金ちゃんは?こんな天気で 来てるかい?」ってな事をね楽屋入りした師匠が前座さんに聞くんでございます。 チワワ プードル ブルドッグ…あっ これは 犬ですがその間に ペンペン草がチョンチョンといるというような非常にバランスのとれた客席なんでございますが女性というのは ことほどさように大変な力を持ってるといったような あんばいでね。
どういう訳で蚊弟子というのかってえと蚊が出る時分に弟子になって蚊がいなくなる時分にゃあやめてるというね。 どうぞ おこたへ入れて温まって下さいな」なんてえと もう 四方八方から我こそは なんてんでね手ぇ突っ込んできて あわよくば師匠の手に ちょいとでも触ろうというね。 これだけ 弟子がいてねこたつん中で師匠と手ぇ握り合ってんのは俺一人だよ。 「師匠!ごはんの支度ができましたよ」。 「師匠台所 行っちゃったよ おい。
もう しょうがねえと思ったからひょっとこになったつもりでフゥ~ッ フゥ〜ッ!…ったらね師匠に見つかっちゃった」。 「誰っておめえ 分からねえかい?建具屋の半公だよ」。 師匠 こっちの 半公 向こう…」。 ひょいと見たら おめえ 甘納豆よ。 俺は おめえ 甘納豆ときたら目がねえからよいい物 食ってやんなあと。 半公が食ってた甘納豆をスッとくれるのかなと思ったらそうじゃねえんだよ。 この野郎 下手なまねしやがってと思ったら半公の野郎が ス~ッと立ってって縁側の方へ行ったんだ。
今ね ばあやが宿下がりでねで 与太が 女中代わりに寝泊まりしてんだよ うん。 与太に聞きゃああすこのうちの様子は分かるよ」。 ここんとこ お師匠のとこへ寝泊まりしてんだって?」。 お女中代わりにね寝泊まりしてんだ」。 でもね こないだ師匠と喧嘩してたよ」。 「何だか知らないけどね師匠が何か言ったらね『余計な事を言うな!』ってね半さんがね 師匠の横っ面パチ~ンって ひっぱたいてた」。
そしたら 師匠がね『ううん 有象無象が一緒だとまた 何かと面倒だから今日は3人で行きましょうよ。 有象無象が一緒だと 何かと面倒だから3人がいいよ 半さん』ったら『うん 有象無象が…』」。 「うるせえ この野郎!誰と口きいてんだ てめえは!何が有象無象だコンチクショーめ! 夕涼みでも何でも行きやがれ!帰れ 帰れ 帰れ この野郎!どっかへ潜っちめえコンチクショー!おい 有象無象! この野郎。