え~ 手前ども武蔵屋でございます」。 「ほう 当家は 武蔵屋と申すか。 そのあと やって参りましたのが江戸の魚河岸の連中3人連れ。 手前ども 武蔵屋でございます」。 それに1軒だけじゃございませんでこの先に参りますと新武蔵というのがございます。 え~で おあと 四十人様はいつ お着きになるんで?」。 「いえ おあとの四十人様」。 「いえ あなた 魚河岸の連中四十三人と おっしゃいましたが」。 ねっ 仕事をするのも3人一緒酒飲むのも 3人一緒。 湯へ入るのも 3人一緒。 旅へ出るのも 3人一緒。
都々逸いこう 都々逸」なんてんで。 はなのうちは 都々逸で騒いでおりましたが そのうちに。 「じゃ 俺はね裸になって踊るからね相撲甚句 弾いてくんねえか?」なんてんで相撲甚句や磯節でどんちゃん騒ぎ。 え~ 旦那様に お入り頂く部屋がございませんので手前が隣に行って 静かにするように 申してまいりますんでどうか こちらで ご辛抱を頂きたいんでございますが」。 「何を!? 静かにしろ?冗談言うなよ おい。
布団敷いてくれ 布団を」。 以前 坊主だったんだがね還俗して相撲取りになったんだよ。 ああ 行司がサッと軍配引くってえとねド~ンと ぶつかってね上突っ張りでね向こう起こしといてサッと 左差して…」。 ドシンッ バタンッ ガタンッバリバリッ!「へ~い。 むじな屋と申す 間狭な宿屋に泊まりしところ 何はさて雑魚ももぞうも一つに寝かしおき夜っぴて話をするやら相撲取りが いびきをかくやら静かな部屋へ案内してくれと申したではないか。 うん そこを ピシャッと閉めて。 ピシャッと閉めて…。
ご新造さんの方 見るってえと飲みたそうな顔してるからああ これは俺が一人で飲んでちゃまずいなと思うから『ご新造さん お一ついかがでございますか』ってえとご新造さんが 杯を受け取る。 ええ? それからってものはね段右衛門さんの留守を段右衛門さんの弟 石坂大助家中一等の使い手だ。 「ええ? まあ ご新造さん真っ青になって 箪笥からふくさ包み 出して『小間物屋 ここに小判が50両ある。
まことは 川越の藩中にして石坂段右衛門と申す者。 仇の源兵衛という者が隣にいる事は 相分かった。 さあ 源兵衛がこちらへ斬られに来るか手前が 隣へ源兵衛を斬りに行くか2つに1つの返答聞いてまいれ!」。 「あんまり豪気じゃございませんええ 隣のお侍さんが 石坂段右衛門さんっておっしゃる。 「黙れ! 現在 自分の口から『人を殺した 金を盗んだ』と白状しておいて 今になってうそや冗談で済むと思うか?かような事を申してこの場を逃れようとする不届き至極なやつ!すぐに踏んごんでそやつの血煙上げて…!」。