小野さんは ルオーどういうイメージをお持ちですか?僕 フランスに住んでた時ですねそこの家にですねルオーの作品がありましてそれで毎日それに触れていたということもありまして僕にとっては非常に ルオーというのは大切な画家の一人でありましてカトリック教会を統括するバチカン市国。 こちらはルオーの美術学校時代の作品…今回来日した ルオーの孫…ルオーの作品を管理する財団の理事長をしています。
カトリック教徒でもある作家の遠藤周作は生前出演した「日曜美術館」の中でルオーにとっての道化師についてこう語っています。 悩み深き存在の道化師にルオーはキリストの姿を重ね合わせていたのではないか。 ルオーは道化師を描くことでキリストを描いたというのです。
どれも 正面からキリストの顔を描く構図で圧倒的な存在感があります。 「聖顔」は キリストにまつわるある逸話が基になっています。 十字架を背負わされ 丘を登るキリストの姿を哀れに思い額の汗を拭ったとされる女性です。 逸話では 彼女が拭いたその布にキリストの顔が浮かび上がったと言われています。 なぜ ルオーは キリストの正面からの顔を何枚も描いたのでしょうか?その中にあるのは イエス・キリストの遺体を包んでいたとされる布にキリストのイメージが具体的な姿として迫ってきたと考えられます。
カンバスといいますか 作品に向かってキリストと対話をしていたというようなことがあるんではないかなと思います。 「絵肌」などと言われたりしますけれどもそういう 素材感というものを師匠ギュスターヴ・モローからも受け継いできた画家ですので絵の具という物質が持つ喚起力表現力というものを本当に信じていた画家でもありましたので。 晩年になると 黄色であるとかオレンジであるとかまた エメラルドグリーンのような色彩を本当に多用するんですけれどもこういった色も輝きを持つといいますか輝度が高いような色になって…。