夏目漱石といいますとその作品 100年以上 読まれて愛されてきているわけですけども阿部さんは その理由というか魅力どこにあるとお考えですか?漱石 いろんな人の悩みを引き受けるお悩み引受人みたいなところがある人でいろいろと難しい事に こだわったり考えたりしていたのは間違いないんですが…くそ真面目で神経質で他方で 「むふふ」とか笑ってるタイプのこの2つの極端が一緒に合わさってるところが非常に面白い人であると。
まあ 後手に回るとも言いますししてやられるとも言いますしそこが 我々は三四郎に共感して三四郎と一緒に世界を見るようになるわけですけれども同時に 三四郎もうちょっと頑張れよというふうな気持ちにもなるわけですね。 題名 タイトルは「三四郎」というストレートに 主人公の名前ですけれどもこれも特徴の一つですか?まあ既に そのタイトルに人の名前が付いてるっていうだけであ これは この人が大人になってく様子を書くのかなっていうふうに彼女が成長していく事を楽しむみたいな感じ。
多分 これより前の時代はね ものすごい大活躍するヒーローが ど真ん中にいてすごいな こういう人になりたいなとかこういう人になりなさいみたいなものがじゃあ 正しい小説だとするとこの弱点だらけの三四郎は新しい時代の何でもありの主人公ですね。 まさに近代小説というのは 悩む主人公を中心に据えるところがポイントなのでさて 三四郎というと恋心を抱いた美子ですけれども休憩の間に三四郎は 美子に近づきます。