日本の話芸 瀧川鯉昇 落語「武助馬」

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この番組のまとめ

診断がインフルエンザでございましてね薬を処方されたんでございますが「寄席は休みがないんだろう 正月は」。 挨拶を口実にあっちこっち飲み歩くというこれが 長年の習慣になってるわけでございますがその年は さすがに女房が80度の高熱でございましたんで私もお客様の酒の誘いは断りました。 何なんだ この異常事態はと思ったら原因が インフルエンザの高熱だったわけでございます。

「将来の夢 ファッションモデル」と書いてありました。 歌舞伎の「俊寛」といういい芝居がございます。 仲間の者はこの船に乗って戻っていくんですが俊寛一人が鬼界ヶ島に取り残されまして出ていく船を寂しそうに悲しそうに見送るというこれを再現しようということになりました。 これに 俊寛僧都がしっかりと しがみついているというこの形で 幕がス~ッと上がりますとそのまんま幕がス~ッと下りてまいります。 「へい 私 片岡仁左衛門のところに入れて頂きました」。 うんうん仁左衛門さんのお弟子になれたか。

「いえ これは兄弟子のせりふなんでございまして私ども 腰元が5人これを聞くと『へへ~っ』とそのまんま 楽屋に戻ります」。 「勘三郎の向こうを張ってる役者さん。 勘三郎の向こうを張っておりまして中村堪袋という人です」。 じゃ お前は そのまんま中村武助でよかろう』というので私 今 中村武助で舞台を踏んでおりますんで」。 「隣町に 芝居小屋があったか?」。 昨日 おとといと 圧倒的に楽屋の方が人数が多かったもんですからこれなら けんかをしても負けない」。

そうだな… いや 今日これからというわけにはいきませんがな明日辺り 友達を誘ってその芝居 総見といこうか」。 幾人いても構わないんでな人数より少し余計にお弁当の差し入れをさしてもらおうか。 楽屋の方には うなぎ弁当の差し入れがしてございますからもう 仲間内から武助さんの株が大層上がりまして。 武助さんなんざあね 日本一の馬の足!」。

いや もうフラフラんなってここまで戻ってきたんだよ。 聞いたら お前の客から 弁当の差し入れがしてあったってんだろ?蓋開けて 驚いたね~。 フラフラ フラフラ…」。 「だ だ… 大丈夫 大丈夫ですよ。 「大丈夫だよ。 親方 ばかに重たく… え?残ってた うなぎ弁当5人前全部 一人で やっつけた?食らい意地が張ってやらぁ。

ところが 武助は 役者になって客席から声がかかるという生まれて初めてでございます。 上に乗ってる親方の熊谷次郎直実が気が気じゃあございません。 これはいけないと 役者が急いで幕をス~ッと閉めると 客席の方では「こんな面白い芝居は見たことがない。 続きを見せろ~!」ってんであっちへウロウロ こっちへフラフラとこの振動が後ろの背景に伝わります。