♪~「凝っては思案に能わず」なんてなことがいってございます。 昔は 「碁将棋に凝ると親の死に目にあえない」なんてなことがいってございます。 大事な用も おろそかになるなんてなところでございましょう。 昔は よく夏場になりますと「何をしてんだ? おっととおい 待ちな 待ちな。 うん 随分あるね。 あっ 香車がいい 香車が。 で 王手とやってごらんよ。 その銀の腹から王手とやってごらんよ。 それで王手には… ならねえか。 その 桂馬のケツから王手とやってごらんよ。 もう その歩で頭から王手ってやってみろ。
銀行へと思いましたがせがれが商売で大阪へ行きまして印形を持ってってしまいました。 年が改まって元日私は午前中 あなたのところへお年始に行く。 待ってみたが一向に帰ってくる様子がない。 二日目に来ない 三日目に来ない。 四日 五日 六日。 一体 どうしたわけなんだ? ええ?悪い風邪でもひいて寝込んでいるんじゃないかと いらぬ心配をするだろう。 というのも お借りしたお金七草には返すという約束でしたが15日だろうが 30日だろうが構わないんですよ』。
『待ってくれ』ったって意地でも待てないよ。 ねえ?いや 行ってもよござんすけどもね今日は 『待った』をするんですよ」。 いないとなると これ無駄足になっちまうよ。 火種がなかったら困るだろ。 誰だ 今日 掃除したのは。 ろくな掃除をしねえんだからなあ。 雑巾がけをする時は よ~くゆすいで固く絞って それで お前拭かなくちゃならねえ。 ええ?一度 絞ったきりで方々なでくるから見ろ。 ろくな掃除しねえんだから。 たばこの火種。
「番頭さん 出てきたよ美濃屋が。 碁会所? あんなところ行ったって相手がいないよ。 ここまで来て帰ることはないだろう?ああいう男かなあ 番頭さん。 いい? うちのもんも そうだな美濃屋のやつらと 口なんぞきくな。 コッパカにしてやがってかたき同士じゃあるまいし。 番頭さん これだよ。 いい盤石で打つと二目がた強く打てるてえが本当だよ。 「ウハハハ どうも…あんまり うれしかったもんだからねつい 夢中になっちゃって。 この町内でね 子どもの時分からの友達は私と あなたと 二人きりだ。