今日の「古典芸能への招待」は京都南座の吉例顔見世興行から坂田藤十郎一家 3代がそろっての「金閣寺」をダイジェストで。 そして片岡仁左衛門 中村梅玉 中村時蔵東西名優 大顔合わせによる「堀川波の鼓」をご覧頂きます。 では まずは「金閣寺」をダイジェストでお送りします。 「金閣寺」ということで ここ 京都のご当地演目ではあるんですけれども京都の顔見世で上演されるのはなんと意外にも今回が初めてだったそうです。 最後の場面では舞台上の豪華絢爛な金閣寺がせりで上下するという迫力満点の一大スペクタクルもあります。
小田春永が家臣 真柴筑前守久吉お迎いに参上せり敵のとりことなり いつ迄命おしむべきこわ言い甲斐なき御仰せ此閣外には某が一味の武士お迎いに 満々たりイデ御安否を告げ知らせん。 ヤアヤア 松永大膳暫く待て。 ご出演は 彦九郎役が 片岡仁左衛門さん。 鼓の師匠 宮地源右衛門が 中村梅玉さん。 鳥取藩士 小倉彦九郎は主君の参勤交代に伴い今は 江戸詰めです。 鼓の師匠 宮地源右衛門に初対面の挨拶がてら 酒をすすめる お種。
それは庭の松の木彦九郎殿は江戸にじゃ。 もし 母様 内々お聞きなされたる鼓の師匠宮地源右衛門様只今 稽古もお仕舞なりついでながら御挨拶を。 姉の連合彦九郎殿 留守のことなりまた小身なり 間所とてもないままに洗濯万端 親里へ持返りていた…。 文六が鼓の稽古と申し此処では何かと御不自由彦九郎 帰国致しましたれば内の方へも申し入れましょう。
鐘諸共に はらはらと 花ふりかかるえんのはしああ 源右衛門様どれへお越しなされまする。 おお さようなれば磯部様未来はおろかこの世の恥親兄弟の名も捨つる。 お種の不義のうわさは家中に広まっていましたが彦九郎は そのことをまだ知らない様子です。 お父上 去年国元ご出立の時と違い此度の御帰国には若党を始め下人数多お召連れにござりまするが…。 イヤ~ 申しおくれたそち達も喜んでくりゃれ此度は江戸表出立の砌り長年の勤め 旧功によって悦びの中にもいやはや 多忙を極めた。
早速参上 お目もじの筈なるが到着早々 お互様に取込中のことにござれば勿体ぶった長口上の土産何かと思えば関東麻これも真苧じゃ。 せめて命を助けたささまざまと思案して彦九郎殿との縁切れていとまの状さえ 遣らせたならと果敢ない女子の思案から姉の男に執心と偽り者に身をなしたもおいとしや母様御臨終のその折に二人を枕の右左私しゃ 骨身に沁みて忘れられぬ。