涼やかに風纏う布「芭蕉布」。 冬でも汗ばむような南国の気候の中で芭蕉布は風を通し 軽やかに肌をなでます。 平良美恵子さんは 40年にわたり喜如嘉の芭蕉布づくりに携わってきました。 喜如嘉の女たちが目指すのは透明なトンボの羽のような世界です。 昭和の初めに 極上の芭蕉布で作られた喜如嘉の着物。 薄くて軽い芭蕉布の原点です。 では 芭蕉布はどんな材料から生まれるのか。 女たちは 年に3回大きな葉を落とすなど豪雨や台風の被害から糸芭蕉を守ってきました。
ちゃんと分けてあって先ほどのナハグーとキヤギこの中に入って昨日の5時からですから炊き上げた糸芭蕉は 次の女たちの手へ。 糸芭蕉の繊維との対話です。 生成り色に光り輝く糸芭蕉。 明治に入って描かれた…さまざまな職業を紹介したこの絵図をよく見ると商人から職人まで庶民たちが着ているのはどの絵も芭蕉布の着物です。
昭和初期 喜如嘉の男たちは船大工として出稼ぎに行っていました。 芭蕉布を作る音が響き続けてきました。 太平洋戦争末期の沖縄戦。 芭蕉布の生産は途絶え断絶の時を迎えたのです。 敗戦後 芭蕉布の復興を目指したのが後の人間国宝 平良敏子さんです。 やがて 喜如嘉の芭蕉布が広まっていく中で女たちの手から手へ芭蕉布は 数百年にわたり喜如嘉の女たちと共に生き続けてきたのです。 人間味を帯びていってるからそうやって出来てきた糸が機械的なものにはなりえないんじゃないかと思うんですよね。