え~ 我々の方はお客様あっての商売でございますがこれは 役者さんも 同じことでしてお芝居というのは 昔から娯楽の王者といわれておりますがお芝居へ専門に行くという ご家庭。 子どもから もちろん ご年配に至るまで大概の芝居の筋は知ってるし有名なセリフは そらで言えるし人気のある役者の声色なんてのはみんな そこいら中の人がやったという役もめでございます。 出し物が 「忠臣蔵」の五段目 六段目ってことになるとさあ もう みんなやりたがるのはあの二枚目の勘平の役で。
どぶ板があるとこれを花道に見立てましてそこに犬が寝てるとこれをネズミに見立てましてな「先代萩」の床下 荒獅子男之助を気取ってこの犬をグッと踏んづけて「ああら…」って。 今日っていう今日はね私は みっちり小言を言いますから。 店を預かる番頭さんがそうやって目をかけてくれると思ややりたい放題のことをやって もうほかの奉公人のためにならないから私は 今日は 小言 言いますから。 幸太郎か? 全く まあ お前というやつは今の今まで どこ行ってたんだ?家が 今日はどれほど忙しいか分かってるだろ。
「いけませんよ 若旦那。 帰ってくる早々ガミガミと お芝居の悪口だろ。 ええ 八百屋お七がず~っと櫓の上へ上がってトッチンチンリン トッチンチンリントッチンチンリン トッチンチンリン」。 一遍本当に芝居を見てみりゃいいんだよ。 あ~ 今日の芝居もよかったな〜。 役者が ずら~っとあの間口の広い舞台一面に並んでね。 頭取がやる そう 芝居も古式ゆかしくやる あの頭取の口上。 役者の口上とは違ってね。 『東西 一座高うはござりまするが不弁舌なる口上なもって申し上げ奉りまする。
何 お前 芝居好きなの?」。 あんまりね大きい声じゃ言えないんですけどねもう三度のおまんまを四度頂いても 芝居が好きなんで」。 どんどん芝居は見なよ。 お芝居ごっこ やろう。 なっ なっ お芝居やろう!」。 二人きりで そっとできるそんなお芝居あります?」。 平右衛門と おかるのきょうだいが久方ぶりに対面する」。 だから 私が平右衛門ねっ お前が おかる」。 「お前 本当に芝居が好きだね。 若旦那 お芝居に夢中になったらきっと刀抜いちゃいますもん。