春風亭一之輔です。 大工の棟梁は 部下の与太郎のトラブル解決を 大家に掛け合う。 おめえもね 早いとこ俺んとこへ 道具箱持ってってくれ。 いるんだけど あれだなあ道具箱がねえんだよ」。 「何を!? ど… 道具箱がねえ。 したらさ その野郎がぬうって入ってきてさで つかつかつかってんで道具箱 向かってくんだよ。 この野郎 あんだな 道具箱持ってくのかなあと思って見てたらさ「いや 言おうかなと思ったけどさおっかねえ顔してんだよ。 お前なんだろう 店賃か何か滞ってでそのかたでもって道具箱か何か持ってかれた。
アンチクショー。 俺も いくらか支度してきたんだけれどもねあ~ いいや おう! これ持ってってなでもって 大家に よく訳 言ってな道具箱 返してもらってこい。 で これ 一両二分なんだよ。 「うるせえ この野郎おめえは 本当にもう。 「この野郎 口のきき方を知らねえんだ。 『道具箱をくれ』なんて…。 「この野郎 放り出しやがった バカ!こんなバカはねえな 本当に まあ。 「あ~ 一両二分だ」。 「当たり前だ この野郎。 確か 何だな 店賃の滞りってのは こら一両二分と八百だよ。
そうかい じゃあ いいや道具箱 どうした?」。 「道具箱 向こうにあった」。 まあまあ こんな野郎でございますがねこれでね 仕事をさせるってえとこれ 一人前の仕事をするしいろいろと目かけてやってるんでわんすよ。 番町のお屋敷仕事。 これがね1年から1年半かかろうって長丁場でまあ 口はばったいことを言うようでございますがあっしら 職人なんてのは 仕事さえあれば大名暮らしができるってんで。
そこんところは ひとつあっしに免じて勘弁して頂いてついででもありましたらお宅へ届けるってことにして 大家さん今日のところはね 一つ 道具箱をねこっちに お渡しもらい申してえんでね」。 いいか? あのね 大工が町役人の前で頭下げてどこが どうなろうってんだ? ええ?私の顔が潰れようってえのか?それとも お前さんの体からはくでも落ちようってのかい?冗談じゃないよ 本当に。
あっちの使い こっちの水くんだりほうき とっつかまってまごまご まごまごしやがって!冷や飯の残りの一つももらって細く短く命つないだのをてめえ 忘れやしめえ!てめえの運の向いたのは 何だ六兵衛 死んだおかげだ。 六兵衛番太 死んだのを忘れてみろ罰当たるぞ コンチクショー。 六兵衛の芋は 本場の川越でもってな買ってきやがってほんでもってな 厚っぺらに切ってたき物も惜しまねえで焼くからふっくらして うめえ芋だい。