え~大坂は住吉大社の鳥居の前で駕籠屋さんがお客さんを呼び込んでてね。 「ところで駕籠屋さんこの大坂というところはいろいろと ぎょうさんなお茶屋があるそうじゃな」。 おい 聞いたか? 駕籠賃も決めんと乗らはったんや。 その点 この駕籠屋は 朝から晩まで『へえ 駕籠。 お前さんらの駕籠で担いでる姿見ておまはんたちは お年寄りや足の不自由な人を救いながら「えっ」。 駕籠屋さんと話 しながら北の新地へ入っていきます。
伊八どん この風呂敷包み預けといておきます。 風呂敷包みな。 おっ伊八どんにも渡さないかんがほかに使用人たち 何人いなさる?全部まとめたら」。 じゃあ 先ほどお預けしました風呂敷包みを取っとくなされ。 風呂敷包みを広げたら中から柳行李が出てまいりました。 その奉書を広げて中を見て伊八 びっくりしよった。 目もまぶしい やまぶき色の小判がびっしりと入ってました。 じゃああのちゃぶ台の上へ乗ってこの残ってる小判を皆まかせてもらいましょうかな。 そしたら これから私が この小判をまきますね。
伊八が 見え隠れしながらまた風呂敷包みを襟首にくくりつけて雪駄履きで北の新地を出まして 天神橋を渡る。 その頭の上に千両箱をド~ンと載せてくれてお前 小判の香々になるところやったんや」。 あいつのために 小判の香々になり損ねてしもて… チクショー!」。 お盆の14日 食の旦那が鴻池さんに お泊まりになってるっちゅうのを聞いたから早速 かつおの屋台に鳴り物一式載せましてなそして 伊八が采配を振るいます。 10丁目から南へ天神橋を渡って高麗橋まで。