「獄門予備校恒例の夏合宿参加者は次の統一模試での偏差値アップを保証成果無い場合参加費用全額返還」だって。 マジシャンズ・セレクトって知ってる？マジシャンズ・セレクト？手品師がよくカードの束を客に出して「どれでも１枚引いてください」って言うじゃないですか。 あれって実はどれを引いても手品師の思い通りになっちゃうそういうのをマジシャンズ・セレクトっていうんです。
犯罪芸術家を名乗る逃亡中の国際指名手配犯だよ。 参加者は理系と文系それぞれ別々の場所に分かれるのよね。 私は理系ではじめちゃんと佐木君は文系だって。 今回の文系・太陽ロッジ担当は私堂島とこちらの赤尾一葉先生です。 え～理系の月光ロッジ担当の氏家です。 あそれとひと足先に到着した臨時教師のリー・バイロン先生です。 ここからは文系理系別々のロッジに向かいますがその前に荷物を全部ここに置いて行くことになります。 氏家先生以外は俺の身分を知らない。
行くぞ！これによれば…前頭葉を活性化させるために授業ごとに教室を移動してこの月光ロッジと太陽ロッジはもともと病院でした。 氏家先生が合宿のため改装したんだって。 霧沢君そばアレルギーなんじゃない？そばで…そんなアレルギーあるんだ。 もしかしたら誰かがアレルギーの霧沢君を狙ってそば茶を配ったとか？美雪そっちは大丈夫か？うん今んとこ何も。 物質１モルが完全燃焼した時に発生する熱量を燃焼熱といいますが…。 氏家先生。 佐木君その通りこれはイギリスの童謡です。
「誰が殺した？クックロビン誰が彼の血を浴びた？『それは私』と魚が言った。 小さなお皿でクックロビンの血を受けた」。 １０分でこの問題を？「フーキルドクックロビン」。 「アイセイドザスパロウ」。 「アイキルドクックロビン」。 全員テキストを出して『悪霊』のページを広げなさい。 あり得ますよね？チェン君も霧沢君もここに来る前に殺された茂呂井君もあの事件で警察に事情聴取を受けたんですよね？事情聴取？ええ。
あぁしかし何なんだ！この奇妙な死体は！奇妙？死体が赤と青のビニールテープでグルグル巻きに。 ドストエフスキーの『悪霊』で確か首吊り死体を見る場面だったと。 霧沢がトイレに行った時の授業は『竹取物語』だった。 ああどの死体もいなくなった時の授業の内容と同じだ。 つまり犯人は授業中教室にいたということになるな。 「誰か」…心当たりは？ないわけじゃないだがそいつには授業中というアリバイがあるしたとえそれを崩せてもそっちで起きている殺人の説明がつかない。 挑戦状？そう高遠つまり地獄の傀儡師からのね。
中屋敷君よこっちの自習室に閉じ込められて課題をやってるはずの。 寝てるのか？中屋敷君。 鍵だあっやっぱり中屋敷君が犯人？矛盾してんだよ。 何がですか？中屋敷はずっと自習室だった。 もしかしたら中屋敷はこっそり携帯電話を持ち込んでたんじゃないかな？でその電池をケータイの充電に使うつもりだった。 中屋敷が犯行時刻に外の友達か何かと連絡を取り合ってたとしたら中屋敷にはアリバイがあるってことになっちまう。 つまり中屋敷を犯人に仕立てあげたい誰かが別にいたってことさ。
でねリーさんが氏家先生を見張ってるからチョークを取りに教室を出たのが午後２時１５分頃だったからやっぱりその直後に殺されたみたい。 氏家先生はずっと教室にいたんだよな？うん授業してた他のみんなも全員教室。 気分が悪いって教室を出てったのがじゃあその休憩時間は氏家先生ずっとフリーだったんだよな？うんそうだね。 例えばそのフリーの時間を使って氏家先生がこの太陽ロッジに来て霧沢を殺したって可能性はないかな？無理だよ。
去年獄門予備校で一人の予備校生が急死した。 この中にいる真犯人は地獄の傀儡師にその復讐心をたき付けられて６人もの予備校生を殺害した。 月光ロッジの事件の時太陽ロッジも休憩や自習時間だった。 へぇ…それで？つまり犯人が文系グループ理系グループに１人ずついて太陽ロッジと月光ロッジを行き来して殺したんだとすればスパロウは２人いたんだよ。
もっともらしい理由だけど本当の狙いは月光ロッジの理系グループを犯行の間太陽ロッジの反対側の個室に寝泊まりさせるためだったんだ。 最初月光ロッジに着いた時私は堂島先生とケータイで話をしたぞ。 堂島先生ですか？氏家です着きましたか？ええ何とか無事にたどり着きました確かにその後１階の食堂でミーティングでした。
あの時返事をしなかったのは気付かなかったんじゃなくてそうやって濱さんと氏家先生はお互いに授業中という鉄壁なアリバイをつくりながら理系と文系交互に犯行を重ねて行ったんだ。 覚せい剤ですよえっ？いくら成績上がったって中毒になったら人間やめますか？って話だぜ覚せい剤とこれチェンジしてこれは？茂呂井君ん家医者だからさ親のとこから持ち出して来たビタミン剤ホント？ホントだよほら茂呂井飲めあぁ…うんマズっ…頑張ってよろしく君に懸かってるからねその後…。