えっ?だってさ幸人君がお金がなくてアパート追い出されてで路頭に迷って困ってる時に森尾がそれを見捨てられないで助けたってことでしょ?ん~!山折り谷折り差し込み線など書かれている順番通りに作ればちゃんと完成するかを確かめているのです。 ビジュアルセンスなさ過ぎなんですけど。 校閲者にビジュアルセンスなど必要ありません!う~んビジュアルセンスを生かすにはファッションエディターにならなきゃダメってことか。 お金がないから女の家に間借り?恋愛感情全然抜きで?何だそのぶっ飛んだ感覚!ハァハァ…あれかあのタコ。
そんなこと聞いてねえよ面白いと思うのか?って聞いてんだ面白いって即答できねえようなもん作ってどうすんだよ!ただ作家の好きなように書かせてそれでもお前編集者かこっちは作家の才能守ろうとしてんだよ。 ん?っていうか…俺作家向いてるんですかね?何か最近向いてないんじゃないかなって。 だってこれ子供のための『月刊こどものべる』に載せる小説なんですよね?そう聞いてますが?「その寡婦は沓脱ぎで履物を脱ぐと慣れた仕草で下駄箱にしまい楚々とした背中を見せて厠へと向かった」。
うぅ~…!あ〜!うぇ~!にいちゃんすげぇ!12時30分セントラルパークで腕相撲大会。 西園寺先生ホントに子供向けの本だって分かって書いてる?んなわけないだろ俺が直接会って伝えたわ。 じゃあ西園寺先生この企画に乗ってないってことだね。 西園寺先生はな『月刊こどものべる』の目玉なんだぞ?先生の名前があるからみんなが手に取ってくれるんだ。 当たり前じゃないですか今までどこにいたんすか?俺なんかあんたにとっては掃いて捨てるほどいた作家志望のうちの1人でしょうけど。 作家さん?いえただの作家志望だった人間です。
ホントはファッション誌やりたいのに嫌々やってんじゃねえのか?いや…いやいや…。 あぁ?私今日から『蛇の飼い方』って本の校閲し始めたんだけどこれってファッションエディターになった時に絶対に役立つと思うわけ。 けどねアオダイショウとかコーンスネークとかサウザンパインスネークとかミドリナメラとかあとジャングルカーペットパイソンとか。 だからさエディターになった時にねもし「蛇柄のバッグ用意しろ」って急に言われてもこの校閲のおかげで蛇柄のバリエーションいっぱい提案できるじゃん。
西園寺先生の原稿が抜けたページには昔の童話を入れてそのまま印刷に回すって…。 河野さんまだ残っていたんですか?藤岩さんどうかしました?それが夫へのプレゼントをデスクの引き出しに忘れてしまったものであっありました。 印刷に回すためには明日の朝6時までにこれを校閲して校閲のミスは会社全体のミスになるんです。 藤岩さんゲラ組めるんですか?私のPCにはゲラを組み込むためのアプリケーションが入っています。