片や 当時のお父ちゃん外資系化粧品会社の敏腕営業マンとして日本中の美容室を飛び回っていましたちなみに定年前には営業本部長にまで出世したんです驚いたのは給料日カメラも気にせず 現金をお母ちゃんに手渡ししてましたこのおおらかさがいいんだなぁあれは IT革命という言葉が流行語になった2000年のことお父ちゃんが熱心に見ていたのはノートパソコンのパンフレットです何だかさりげなくお母ちゃんにアピールしている気配親父 眼鏡が欲しいって。
親の務めは子供の教育石田さんチの七男二女が成人するまでにはさまざまなドラマがありました中学3年生だった二女の芽衣子さん受験校を決める家族面接に臨んだのはお母ちゃんです第1志望は学費が安い県立高校でした「今の成績ではちょっと難しいかも」それが先生の意見だったんです受験まで あと3か月部屋を追い出されれば今度は廊下が遊び場です冷蔵庫を開けて行った理由はいまだに謎まったく…後誰がやるんだよ。
それが だんだん…でも 覚える言葉には偏りがありましたバカヤロウ!何でいつも ぶつんだよ!子供は親の背中を見て育つものなのです大家族 石田さんチの…幼い頃からわが道を行くタイプ高校を卒業したら自衛隊に行くと決めていましたちなみに この年 小・中学校の学習指導要領が掲げた自立心は立派だけどお母ちゃんは複雑でしたでも 決意は固かった入隊に先立つ寮生活のスタートは3月の終わりでしたいよいよ家を出る その朝夜も明けきらぬうちからお母ちゃんは和寛君が大好きな煮込みハンバーグを作っていたんですとても朝ごはんとは思えな
お母ちゃんは黙々とその準備こういう時 心細くなるのはむしろ周りのほうです会社を休んだ お父ちゃんがお母ちゃんを連れて病院へ医師から言われていたんです転移のある なしがこの日で はっきりするからと大腸がんを宣告されたお母ちゃんしかも 進行性といいますから少しでも早い手術が必要でした転移の有無を確かめる精密検査に付き添ってお父ちゃん気が気ではありません幸い転移は認められず手術は9日後と決まりました入院当日も会社を休んでくれたお父ちゃん「家事の重労働から解放されるんだからむしろ うれしい」…なんて お母ちゃんは