今救急車来るからね。 師匠は大丈夫なんだよな？まだ分からへん。 与太行くんだろ？えっ？あっ…。 頼んだよ！与太ちゃん！マクラなし？そのまた下下が居続けて下下の下の下が居残りをする。 「佐平次兄ィ話ってのはなんです？」。 ははははっ！「兄ィ！佐平次兄ィ！」。 「この大尽遊び大変な費用だぜ。 養生すりゃ治るってぇから品川なんぞぴったしじゃねぇか」。 「そいで居残りかい？なんてあきれた野郎だぃ」。 さっ今朝こそお支払いを」。 「ねぇバカ野郎このやろう！灯火が入るってぇとがらりと変わる別世界。
生まれついての悪性でガキの頃から手癖が悪く抜け参りからぐれだして旅を稼ぎに西国を回って首尾も吉野山碁打ちといやぁ寺方や豪家に入り込み盗んだる金が御獄の罪科は蹴抜けの塔の二重三重～！」。 パンパン「おいおい！誰かいねぇか？おうあのな今居残りが出ていったんだがな悪いヤツなんだ。 吉原でも千住でもどこでも相手に仕手のねぇ居残り佐平次たぁ俺のことよ。 「旦那大変でございます！」。 「何居残り商売だと？じゃあ俺は詐欺にかかったのか？」。 旦那の頭が胡麻塩ですから」。
当分は家族以外面会謝絶になると思うで。 こんなときになんですけどあたしゃ萬月師匠の落語が大好きでねぇ。 八雲師の代演とはいえ助かったよ。 その使い勝手だけがいい割れている火鉢もべっこべこの畳も焦げた薄っぺらの座布団も…薄暗い客席も曲がった時計もヤニ臭ぇロビーもそれに合わせて人が一緒に成長してきたんだ。 何よりよ与太公このハコは面構えが天下一品だよ。 まずは八雲師匠。 次に先代の助六師匠。 彼の落語はすべてが「助六」。 女子供ご隠居犬でもたぬきでも何をやっても助六になる。