♪「やっぱり するこた同じ」♪「ボインの誘惑に 出来心」♪「3年2ヶ月の いわゆる一人旅 Gai…」♪「この悲しみを どうすりゃいいの」♪「誰が 僕を救ってくれるの」♪「僕がカンイチ 君はオミヤ」♪「正に この世の大迷惑」♪「君を この手で 抱きしめたいの」♪「君の寝顔を 見つめてたいの」♪「町の灯 潤んで揺れる」♪「涙 涙の物語か」はい そこまで。 文化人類学の クラシック大好きの春川教授が。
♪「ずっと 一緒にいた」♪「二人で歩いた 一本道」♪「二つに 分かれて~」いいよ いいよって どこがいいの?訳分かんないよ。 みんな 1人で カラオケでした。 こちらも 1人で カラオケでした。 ♪「熱燗徳利 首つまんで」♪「熱燗徳利の 首つまんで」♪「もういっぱい いかがなんて」よく 歌なんか歌える。 リスボンに どういう希望があるの?6年半もいて 結婚もしないで ポルトガルで絵を描いてどういう先行きがあるの?何とか やってんだ。 俺に 何ができるの?カラオケなんかに行って。
実はねうちのね 家内 妻 女房が一緒。 どうして 女房が一緒だと 謝るの?いや 意外だろうと思って。 私も カラオケ好きなのに どうして 1人で行くのよ!ホントは 誰かと 行ってるんでしょ? って。 1人だって!カラオケは お金が掛かるでしょって。 1人カラオケが多いのにも 驚いたけど声を掛けると 結構 集まってくれるのにもね。 教授の現実体験ですね。 お前 何だ?どこの探偵だ?あそこの店員じゃねえだろ。
あのカラオケには 変装した男が潜り込んでるってな。 ちょちょ… ちょっと ちょっと じゃあ 正直に 正直に 正直に。 正直に言えば 通常の意味で あなたの歌は うまくない。 何ですか?井形 俊也さんの あのピアノの あの奥さん…。 あちこち 電話する元気なくて…。 セールスの方?いえ 井形です。 葬儀から 3日もたってしまって お礼の電話もいたしませんで。 私は 女房が疎ましくて1人で カラオケに 逃げていたような 男です!布団 敷いた?あっ ちょ… 井形さん。 い… 井形さん。 井形さん。 井形さん。
♪「ドブネズミみたいに 美しくなりたい!」♪「写真には 写らない 美しさがあるからー!」えっ?おや おや。 ♪「ずっと 一緒にいた」♪「二人で歩いた 一本道」どうして?由紀さん どうしてだ?先生は 秀美と いたいだけなんじゃないですか?何 言ってる。 秀美君が?その年で 恋でもしようって いうのかなって。 本心は 秀美と いたいだけなんだって。 菠菜肝片湯。 羽根布団に毛布じゃ暑くて。 タオルケットに変えたけど。
義理じゃないでしょ 気持ちでしょ。 もう あなたには 人の不幸に 寄り添う気持ちは ないんですか?はい。 あれこそ あなたが 求めてたものじゃないの?ホントに 私に ピアノを頼みたいんなら主人は きっと 自分で言うでしょう。 あなたは エゴイスト。 そっちの人生 尊重するのが エゴイストか!?まあ ここらに掛けてください。 飲みますか?さっき 紹興酒 飲んだから…。 実は ショックで へこたれそうであなたどころじゃないんだよ。 元教授。 あんな妻を 突然 亡くした男の 悲しみよりも深刻ですか。
これってさ 年寄りの 悪あがきだったんじゃない?年寄りの悪あがき?1人で カラオケに来てるやつら 集めてクラシック クラシックって…。 文化人類学か 何か知らないが孤独なままの歌声を集めて ハーモニーだなんて頭ん中だけの話だよ。 どうしてだ?どうしてだ?どうして あんた そんなに威張って 意地悪なんだ?うらやましいからだ。 それから バルセロナで4位。 サンパウロでも優勝して日本で オーケストラの メンバーだったこともある。 だから クラシック一筋で 何の無理もなかった。
女房を もう一回だけ 天から呼び戻したいのよ。 うちのは バイオリンね。 うちのが クラシック音楽以外 弾くなんて。 ハハハッ!あーっ!酒 2つ!はいよ。 ハハッ アハハハッ。 父が オーケストラの バイオリニストで。 クラシック以外は 音楽じゃないみたいに。 誰のため?先生が 1人カラオケの連中 集めたの調査研究のためだと 思ってます?違うの?先生は 奥さんが お父さんとの世界からドアを開けて 出てきてほしいんですよ。
それは駄目! ピアノは駄目!俺は 女房のピアノが 忘れられないんだよ!だから 私 コンクールは諦めた。 できたら 秀美君も一緒に。 秀美君に 気があったなんて いくら何でも 私にはないよ。 何を?私が 秀美に 先生は 秀美のことばっかり 見てるって言ったんです。 秀美 暗示にかかって。 あの先生は 少し お客さんもほしいって最後に勤めてた 短大のOGに 声を掛けたって言ってる。 友達と会うと自分だけ もう 半分 あの世にいるような気がして情けなくて 1人でカラオケに。