えっ?あのね 普段 義之に母親らしいことを何一つとしてね そうやって してやってないからねこうやって 取って付けたみたいによいい母親ぶってさ 浴衣なんか 持ってきたりするんじゃないのよ。 女房の浴衣姿なんて 新鮮で 色っぽくてほれ直すと思うよ 圭介さん。 それについてはさ 義之がいたら 何かと あれでしょ?何ていうのか この コンセントレーションっていうのか表現の抑圧っていうのか そういうのがあるでしょうが。
そしたらさ あんたのママがさ盆踊りは 浴衣でなきゃってさ 浴衣 仕立ててくれたんだよ。 ♪「郡上のナー 八幡…」ここで 浴衣じゃ 目立つわな。 純ちゃんには かわいそうだけど 麻子としてもちょっと イエスってわけには いかないもんね。 純ちゃん 今 21だっけ? で 麻子が 29で 8つ違うんだ。 10年たったら 純ちゃんが31で 麻子が39。
お食事 済んだんだったらじゃあ エダマメとか塩辛とか ちょっとずつ?…も いいね。 子供のころさ よく 種なしスイカって食べなかった?あ~ ありましたね。 あれなんかも 今でもさ時々 スーパーで見掛けるけどさあれだって 何か いまいちさ 違和感 感じんのよね。 まだ 女としては 発展途上国で見掛け倒しもいいとこの 十把ひとからげなんだよ。 ママがね 子供つくってあげなさいって。 圭介の子供。 圭介も感じてたでしょ?私たち夫婦 何か 少しずつ距離ができてきたって。 私が 子供 産めないせいだって。
麻子に頼もうか。 麻子?私 もう駄目…。 どうしたの?麻子 泣いてんの?純ちゃんとこ行ったの。 んっ?結局 形で表すことは できなかったにしてもよ麻子は 精いっぱい 誠意 示したんだもん。 だって どうせ 麻子に断られるんだし。 そんなこと言ったって 私が寝ちゃったら圭介んとこ帰っちゃうんでしょ!いや だってさ こんな麻子 放って帰れると思うか? んっ?ホントに?ホントだって。 私 麻子。 誰に? 麻子さんにですか?そうそう そうそう。
いや それと あと もう一つねこれ あの とっても 大切なことなんだけども結婚した後も 麻子 今の仕事 続けていいのかしら?いや あの子ね 何か 仕事 辞める気なさそうだしそれに 今 あの仕事が面白くて しかたがないふうなのよね。 それは それでいい?それは それでいいけども ホントは 仕事を辞めてもらって専業主婦になってもらいたい!ハァ…。 専業主婦は お嫌い?私のような。 仕事 辞めて 専業主婦になれって言われたら?それは困る。