前の事件で せっかく 新聞に載ったのにろくな仕事が 来ないじゃないか。 だいたい 明智先生は肝心の二十面相を 逃がしちゃったんだよ。 2週間ほど前 私の父 柳條 清久男爵が毒を盛られた事件を ご存じでしょうか?柳條男爵? 確か 新聞で…。 折口先生は 20年以上も 父の主治医を されてきた方です。 それにしても 二十面相は 手ごわいですね。 「明智 小五郎殿」「きたる 中秋の名月に 注意されたい」「尚徳山に傳わる 金の如來像を 戴きたく ここに通告する」「怪人二十面相」えっ?ハァ…。
こっちは 一睡もせずに 協力したのに 失敬だな!金田一さん。 怪人二十面相からの。 二十面相?犯行予定日は 中秋の名月。 左手が 金田一先生のお部屋です。 明智先生と共有すべき情報など…。 死亡推定時刻は 午後7時から 9時の間ですから村人が 寝静まるには まだ 早い時間です。 だって 数馬さんは この柳條家と 養子縁組をしたばかりですよ。
鍵も 男爵さまが 保管しているはずですが。 この柳條家は江戸時代に 金山を発掘したことで 財を築きました。 どうですか? 男爵のご容体は?あまり 芳しくありませんな。 血痕?吐血したということですか?男爵が 襲われた手口と 似てますなぁ。 ついに 結婚か 星子ちゃんも。 男爵の息のあるうちに 無理やり 結婚させようってんだから。 それでも 娘同然に 何不自由なく 育てられてきました。 何があっても 柳條家の金は 尽きることがないという意味です。
じゃあ 不幸が続いてるのは 金の如来像のせいだと?私には 分かりません。 「金の如来像を狙った者たちが幾度となく 柳條家の当主たちを 襲ったんだ」って。 そんなの ばかげていると 思いませんか?もう いっそのこと 金の如来像なんて二十面相に 盗まれてしまえばいいんです。 全身が 純金で作られた 金の如来像なんて。 夏彦さんは口じゃ 財産に 興味が ないようなこと言ってますけど主人が 養子縁組したら やたらに すり寄ってきて「ぜひ 受け取ってくれ」って。
ちょっと 金田一さん。 金田一さんも 落ち着いて。 金田一さん。 って 何か やる気 出ちゃったな!よっしゃ!よしっ!あの 金田一さん?はい はい。 はぁ?ついに 結婚を機に その 小汚い下宿を巣立つ日が来たのかもしれないのだよ。 やめとけ 金田一。 柳條家の財産?そんな 莫大なんですか?何で そんなこと あんたに?村に住んでねえ人に 跡取りだって 言われてもなぁ。 でも 数馬さんは 柳條家と 養子縁組してました。 養子縁組したもんだから 当主風 吹かして威張りたかっただけなんだ。 神様 仏様 天神様。
ダンス?でも 会社が危ないのは ホントのことでしょ?卓造さんに 頭を下げて 何とかなるなら…。 あんな チンピラが 当主になったら財産 全部 持っていかれて 終わりだよ。 明智先生に 着替えろと 言われて 拝借しました。 踊りも 上海仕込みか?今度は 俺と…。 だったら 折口先生は 無罪ということじゃ?奥さま!奥さま!どうしたの…。 ここにいる 卓造さんを星子の婿養子に 迎えることにしました。
二十面相は男爵が 全てを あなたに 託したところを見ていました。 明智さんは 村に伝わる歌を ご存じですか?歌?明智さん!あの 一平君は 今どこに?さあ。 一平君 見ませんでした?さっき 卓造さんたちと一緒に 裏山の方へ行きましたけど。 でも… 今日が 二十面相の 予告の日なんですよね?この歌は…。 「オハヨウ ゴキゲンハ イカガカナ?」「キミノ メイスイリニ キタイスル」暗号文です。
えっ?一平が 継承?実は 一平君こそが この柳條家の 正統な跡取りだったんです。 《男爵は 認知をしてくれましたけど《駿吉さんに無理を言って一平君の誕生日は 今日ですが男爵も 奥さまにだけは 早めに打ち明けたんでしょう。 しかし 本当のことを言ってしまうと今度は 息子の一平君の身に危険が及ぶかもしれないと 思ったんです。 あなたと一平君はただの幼なじみじゃ なかったんじゃないですか?その証拠に 男爵は あなたに 全てを任せると言いました。
一平君 現行犯で 逮捕されましたよね?どうして 釈放を?明智先生。 皆さんに お越しいただいたのはこの場所にこそ 柳條家の秘密が 隠されているからなんです。 私に変装した 二十面相が 柳條家に戻っていきました。 殺人事件のあらましは 金田一さんの推理どおりでしょう。 しかし 数馬さんと 夏彦さんを 殺害したのは一平君じゃない。 一平君が できないことをどうして 駿吉さんが できるんですか?おそらく 村の人たちに頼んだんです。