でも この床板は ７０年前 当時の職人がこだわって 選びぬいた 木材です。 私にとって この場所は 絶対的なんです。 この世で 唯一 私の思うように 暮らせる場所に したいんです。 はっ？この場所は 世界に通じてるんです。 あなたの世界は こんな ちっぽけな場所だけじゃない。 あなたには ちっぽけに 見えるかもしれないけど私にとっては 大切な場所です。 全部 輸入品なんですか？ヨーロッパのね アンティーク家具なの。
きちんと 人生設計も できてるし。 どうして？決定的に 無理だと 思うことが あったの。 決定的？まさか ご主人 浮気？あれの どこに 浮気の虫が いるんですか？ですよね。 もう 生理的に 無理で。 いつも おすし 二口で 食べてくような 人生絶対 嫌だって。 失礼？施主は 私よ？私の思うとおりに 設計するのが 向こうの仕事でしょ？なのに 「あなたは ちっぽけな世界で 生きてる」「考えを 変えるべきです」とか 変なこと 言っちゃって。 旦那がね おすしを 二口で 食べるんだって。
夫婦でいるのが。 今まで 当たり前だなと 思ってたことがある日 突然 「これ 違うかも」って 思うようなこと。 あるんだ？えっ？これから 秋田へ？はい。 入院してる 祖父の お見舞いです。 大丈夫？大丈夫？ 汚れるよ。 依頼人の人が 送ってくれたんだ。 秋田が 実家なんだってさ。 河原 美咲さん。 学生時代の 友人の娘さん。 まあ 立派な野菜。 ああ ああ！ よかったら 今晩 一緒に 鍋 どうですか？あっ。 ねっ？ 和子さん。 すみませんでした ホントに。 ホントに。 和子さん 持ってきてくれたの。