その取り巻きの掌中に ありました中でも 中野播磨守清茂さまは 隠居され石翁と名乗られる今も特別に 西の丸大奥に登城を許され隠然とした ご権勢を 振るっておいででした将軍家が 真田信濃守を 老中にと申してきましたが在位50年五十有余名の側室を持ち 50人ほどの子をなしましたハハハハ。
大奥は窮屈で 体を思うさま 動かせぬものですから。 は?大御所様は 希代の好色じゃ。 新之助に会っていくか。 新之助さま 江戸に 戻っていらっしゃるのですか!?半年ほど前に出てきて今は 豊春という 富本節の師匠の家に身を寄せて闇医者をしておる。 新之助さま。 新之助さまこそ見違えました。 ん?この通り 新之助さまに手を引かれて小さいころ よく遊びに来ました。 身寄りのない私を新之助さまのお父上が 拾ってくださった。
もうすぐ 大御所様のおなりじゃ。 大御所様のおなりにございます。 大御所様!大御所様! 大御所様!おさじを早う!大御所様!お気を確かに!大御所様!同じにございました大御所様のご容体は いかがじゃ?おさじの見立ては 卒中風とのこと。 かくなれば 大御所様が 身まかられた後のわれらが 身の振り方を 考えねばなりますまい。 大奥粛正派の寺社奉行 脇坂淡路が本丸老中 水野越前と 気脈を通じているらしく将軍家お世継ぎとなって いただきたく思うておる。
その機を待ち続けていた 美濃守さまは乾坤一擲の妙案を 思い付かれます因幡守殿。 大御所様は とかく このごろ お召し上がり物が進みませぬ。 されば 御膳で 上様が 甘い物を口にされるのは大御所様のご機嫌の手前 ご遠慮のほど願いとう存じます。 祈祷は 大御所様 御全快とは 表向きのこと。 も… 持て!「跡目は 加賀宰相斉泰嫡子 犬千代を養子と定め 成人の暁には…」いや めでたい。
土左衛門だ!土左衛門が揚がったぞ!あっ 新さん。 菊川?妹さんは 大奥で 上様以外の子を身ごもった。 相手は 石翁の策謀に加担した 前田家の用人あたりじゃないか。 大奥の風紀の乱れが 世に知れるのはお美代の方と つるんでる 石翁には痛いことだ。 お墨付き?将軍家の世継ぎに お美代の方さまの お血筋前田 犬千代君をという お墨付きさ。 お縫さんが 大奥に入り込んだように石翁の屋敷に 私が 女中として入り込むんです。 どこに埋めた?身元不明の 土左衛門として小塚原の浄泉寺に 埋めてやりました。
感応寺に参るのはほんに お心の躍ることなのですね。 これ!めったなことを言うでない!感応寺は さしずめ ハスの花咲く 極楽浄土のよう。 ビャクダンの香りです。 ビャクダン…。 その文を 2人で読んで 笑いおうた後でなければ感応寺の御代参にて大御所様の御平癒祈願のお札を 賜りましたのでお届けに上がりました。 少しでも 罪滅ぼしをしたいと思うなら大御所様のため お部屋で お祈りなされ。
大御所様! 大御所様!おさじを おさじを!大御所様のご病気 いよいよ お重篤となりお美代の方さまの お父君で感応寺の住職であられる 日啓さまが西の丸大奥に招かれ直々に ご祈祷を おさめることになりました大事な用向きがあります。