河村だ。 河村真二。 あの浅利祐介とおかしなことになったりしたら。 河村さんだって。 うちの祐介を女性が訪ねてくるなんて青天のへきれきってやつですよ。 私らが死ねばよかったっていうのか?河村の狙いどおりに。 せめて一度でも花木さんが河村のことを警察に通報してくれたら。 そうすれば河村の名前が捜査線上に挙がったかもしれない。 間違い殺人の可能性に気が付く捜査員がいたかもしれません。 だがそのたびに河村はやつの親父が幹部をやってた暴力団の名前を出して…。 浅利先生。
柳瀬光三はその憎しみを受け止め今は死刑を覚悟しています。 これから河村が犯人だという証拠を揃え全力で柳瀬の冤罪を晴らしたいと思います。 河村礼菜さんを孫として受け入れてあげていただけないでしょうか?河村礼菜?礼菜さんからお聞きになっているとおりあかねさんは末期がんで余命を宣告されています。 この赤ちゃんが柳瀬光男。 もちろん祐介君も最初は半信半疑だったんです。 しかし祐介君が柳瀬を再審へ導けばそれだけ真実に近づくことになるんですよ。
傷つくのは祐介なんです。 祐介さん。 会いたいのよ祐介さんに。 祐介さんの。 あなたがやめるって言えば祐介だって。 どういうことでしょうか?祐介が突き止めたって澤田先生がおっしゃってたわ。 えっ?だって私たちは祐介を愛しただけだもの。 河村が立ち去って間もなく柳瀬が八王子の花木家から帰ってきた。 俺は浅利祐介として30年生きてきた。 おい祐介。 30年前の事件を一から洗い直しあなたという人物を知るために血のにじむような努力を重ねてる。