僕はこの夢のニュータウンあやめ町団地で穂乃花と新たな人生を始めるんだ。 ♪「アップルパイイチゴと一緒」♪「アップルパイウィズストロベリー」♪「アップルパイ」寺内さん。 どうしてアップルパイにイチゴなんですか?亡くなった妻がイチゴに目がなくて。 僕があらゆるお菓子作りにイチゴを使っていたんです。 しまいにはアップルパイにも入れてみたんですがこれが意外においしくて。 父さんと穂乃花も甘いものが好きなんで僕も作りがいがあるんです。 穂乃花ちゃん。 穂乃花。 僕も穂乃花と書きます。
加代子さんにご主人がいたこと知っていましたか?はい。 加代子さんから直接聞いてませんか?50年も昔のことですよ。 加代子さんなりの幸せを感じてこの団地で暮らしているんならそれで十分じゃありませんか。 「穂乃花のおやつの…」穂乃花のためにも。 穂乃花のためにもおじいちゃん元気でいなきゃ。 穂乃花が寝たらおじいちゃん走ってくるからね。 穂乃花も一緒に走りたいな。 加代子さん。 あれは加代子さんの大切なものなんです。 加代子さんと初めて会ったときのこと覚えてる?大丈夫だよ。 加代子さんの生活は僕が守るから。
この部屋は穂乃花が自立した後もずっと団地に住んでもらおうと思って僕が借りてる部屋なんです。 この思い出の部屋で穂乃花の7歳の誕生日会を開こうと思って実はずっと準備してたんです。 そう言いましたよね?僕はただ加代子さんの大事なものを守ろうとしていただけです。 でも仮に僕が本当にそういう人間だとしたらだからもう加代子さんの部屋に入るのはやめにしましょ。 確かに死体があったのよね?その加代子ってばあさんの部屋にあるんだろ?もうあんたなんか必要ない。