フジテレビをご覧の皆さんどうも三谷幸喜です。 この映画はですね史上最悪の駄目総理が記憶を失っちゃっていったいどうなっちゃうんだろうというようなお話です。 でこの『記憶にございません!』公開を記念いたしましてこれは何に見えますか?コウモリつぶれたカエルセミの顔。 これがかの有名なロールシャッハテスト。 今泉君ね助けてやりたいけど多分無理。 このままいったらな十中八九有罪や。 被告人は前へ。 当37年方居室において殺意をもって…」被告人に尋ねます。 先程検察官が朗読した被告人と同意見です。
弁護人。 弁護人。 花瓶で頭を殴るのとナイフで心臓を刺すのとどっちが確実に相手を殺せますか?警察の方ですよね?はい。 今泉を先生と呼ぶ女性いませんからね。 傷害致死で執行猶予5年。 学生時代から彼を知ってます。 学生時代から全く女に縁がなかった男です。 今泉君さホントにいいのかい?何がですか?今までの生活はもう戻ってこないんだよ。 あの弁護士先生に何て言われたか知らないけども。 古畑さん!僕刑務所なんか行きたくないんです!模範囚になる自信ない。
事件のあった時間は僕は事務所で仕事をしてたんですよ。 事件当日あなたは被害者のマンションを訪れてますね。 で秘書は?確かにあの時間あなたはここにいらっしゃったと。 だから?しかし見たわけではなくて電話で話しただけだそうです。 ここで仮眠をとるから10時に電話してこいってあいつに言うたんですよ。 で10時にかかってきて目を覚まして電話を取った。 ホントにここの電話でしたか?そうや。 しかし最近転送電話って便利なものがあって確かここの電話にもついてたはずです。 ここでね10時に電話で起こされた。
でもってですねあの夜秘書の安西さんは最初業務用のほうに電話をかけたらしいんです。 そして留守番電話になってたんで慌ててもう1本のほうに。 先生ご存じなかったと思いますけどもあの人あのときの電話をテープに録音していたんですよ。 何やて?前に一度モーニングコールを頼まれてそのときは電話をしたしないで結構もめたそうですね。 さすが弁護士先生の秘書です。 おかしいと思いませんか?安西さんこっちのほうに電話かけて留守電になってたんですぐにこっちのほうにかけ直したと言ってんです。
それでは弁護人。 ということは被告人は家族よりも深いつきあいだったわけですね。 そのあなたが被告人の人間性を彼は殺人を犯せるような人間ではない。 はい?この期に及んで被告人の人間性について言及しても意味がない。 下がれと言うてるのが分からへんのか!?弁護人。 真犯人を知ってるんですか?知ってます!弁護人。 検察側から証明があったように被告人は明らかに隠ぺい工作を行っています。 電話の指紋を自分でふき取ると考えるのが自然じゃないすか?弁護人。 あなたは被告人の弁護のためにそこにいるのを忘れないように。
犯人はガラスの花瓶で被害者を殴ったとおっしゃいましたね。 検察の調書にだって「花瓶」という文字は一度も出てきてないんですよ。 問題はですね小清水先生がどうして凶器は花瓶と思い込んだのか。 凶器の水差しが花瓶の役割を果たしていたのは今泉が向井さんにバラをプレゼントしてから彼女が殺されるまでの間だけなんです。 その間にあの水差しを見た人間だけがそれを花瓶と思い込むことができるんです。 だからそれを花瓶と勘違いしたんです!今泉がバラのことを告白したのはついこの間です。