再捜査刑事・片岡悠介④

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ガイシャはローズファイナンス社長山崎忠臣55歳。 ♪~捜査本部がローズファイナンスから200万円の借金をしていて普段毛筆を使っている人間に絞って捜査を進めたところ足立区弘道3丁目で美術工芸店を営む尾高隆二51歳が捜査線上に浮かび上がりました。 あの…尾高さんですね?捜査本部はすぐさま任意同行を求めたが尾高隆二は犯行を頑強に否認しました。 この紙に「山崎氏に二百万円の返済期限の延長交渉」と書いてください。 「山崎氏に二百万円の返済期限の延長交渉」と。 よって尾高隆二は逮捕送検起訴されましたが…。

何度も聞かれたと思うんですけど発見当時の様子を教えてもらえませんか?有紀先生ドタキャンなんかしないのに夜7時開始の撮影に来なかったんですよ。 山本有紀の助手第一発見者の久保田啓太27歳はクソ女…。 まずは第一発見者を疑えって言うが痴情のもつれによる犯行ですかね?徹底的に調べて各自のゆうべのアリバイを洗ってくれ。 殺害現場に遺留されていたこのメモと被告人がのちに取調室で記したこの同文の文字をご依頼がありました筆跡は私も同一人物によるものだと鑑定いたします。

じゃあ「山崎氏にニ百万の返済期限の延長交渉」って書かせたの斎藤さんたちなんですね。 山崎社長に店を潰される。 山崎社長には仲間がいたんですよね?金貸し仲間ですよ。 江戸時代?かもじといって漆細工の漆刷毛という刷毛に使われる髪の毛だったんです。 漆刷毛職人の大橋義治と漆工芸作家の坂井光葉。 もう1人の坂井光葉っていうのは貧しい漆工芸作家でな。 山崎社長はあなたの作品を安く手に入れたと大層自慢してたようですな。 だったらなぜ山崎社長に作品を売ったんですか?背に腹はかえられなかったんですよ。

♪~で話とは?ええ我々が手がけてる女性カメラマン殺人事件と片岡が一課長に再捜査を命じられた23年前の尾高事件を合同で捜査したいと思います。 というと?今回多摩川で発見された死体はあきる野高校教諭で書道部の顧問井上絵里33歳だったんですが彼女は尾高隆二の国選弁護人井上義男の娘である事が判明しました。 それに気づいた片岡の進言で調べたところ女性カメラマンの山本有紀は筆跡鑑定をした検察側の証人元科捜研技官山本博康の娘だったんです。

絵里と有紀と三角関係にあった男性教師でした。 えー…尾高隆二の家族は妻尾高美智子当時46歳。 一人娘の華子当時17歳高校2年生。 あの…私は?君は待機し連続殺人事件捜査班との連絡係に従事。 連続殺人は果たしてこれで終わるんでしょうか?何?動機が尾高事件にあるという推論が正しいとすれば次に犯人が狙うのは…。 弁護側の鑑定人だった佐光真一本人ないしはその家族。 佐光真一は現在でも池袋で佐光印刻店を経営していて本来の仕事をコツコツと続けています。

父親が美術商だったから華子には美術方面の才能があった。 「思い切って東京に戻って1人で強く生きていきます」「そしていつか父の無実を証明して父の汚名を晴らしてみせます」「おじさんの忠告に背いてごめんなさい」♪~尾高華子は東京のどこかで生きている。 やっぱり尾高華子が今回の連続殺人事件の犯人なんですかね?うーん…。 当時黒服してた1人が今カラオケ屋の店長やってるんだって。 遺体は5号室を契約していた尾高華子さん二十歳と特定されたんです。 尾高華子と特定?ええ。

筆跡鑑定のために尾高氏に同じ文章を書かせる際現場にあったメモを見せてこのように書けと命じたとするなら字の書字方向だとか感覚が自然と似てしまうもんなんです。 やはり尾高隆二は冤罪だった。 じゃあ23年前の事件は金庫の中から尾高隆二の借用書1枚だけを抜き出しそのあとメモをわざと現場に置き去った。 捜査の目が全て尾高隆二1人に向けられるようにな。 末永仁美と尾高華子はお互いのアパートに泊まり合うほど親しくしていた。 部屋を貸している尾高華子だと思い込んでしまった。

もしそうだとすると山本有紀は仕事を通じて末永仁美とつながりがあったし井上絵里は有紀を通して仁美に書道の教えを受けている。 尾高華子は末永仁美に成り代わっても珍しい事があるもんね。 ねえ末永仁美さんって素敵な女性ね。 末永仁美はでかした。 間違った筆跡鑑定と控訴に消極的だった国選弁護人に見殺しにされた男。 それもこれも父を見殺しにした山本鑑定人の娘の有紀さんと父を冤罪に落とし込んだのと同じ凶器の硯で…。 なぜ井上弁護士と山本鑑定人の2人を私は山本さんと井上さんに肉親を奪われた者の苦しみを味わわせたかった。