源一郎殿引き上げましょう。 手口からみていずれも源一郎殿の仕業に相違ござらぬ。 源一郎殿は来月の一日つまり今日から四日の後に江戸へ赴き将軍家に目通りを賜る手はずになっておる。 この金子藩の紐付きではあるまいな?いや拙者が家宝の鎧具足を売ってつくったものでござる。 佐伯六左衛門殿と申されたな。 すでに隠居した身のお手前が何故そこまで…?松平源一郎という男と何か深い関わりでも…?とんでもござらぬ。 うん?この橋の向こうは小島藩一万石の領地でありあなた…あの子は先程の…。 大五郎。 えっ?名前大五郎。
若いころから江戸詰めだったあの人は子どもを連れて故郷へ帰る日を待ち望んでおりましたので…。 江戸詰め納戸役の立花伊織でございます。 以前本所の下屋敷でお目にかかったことが…。 それにしても源一郎様はどうなさったのですか?悪い病に取りつかれての…。 わしは町医者・佐藤道庵。 今日は幾日だ?神無月の晦日。 小夜さんの言葉は正論。 あの男が倒れておったのは小島藩領から東海道へ抜けるほらご覧なさい。 われわれの息子として?だって刺客稼業の父親と一緒ではあの子の行く末も知れております。