大手企業の安全管理をテーマにしたノンフィクションだそうです。 言ったな?じゃあ今日は美和子飲んじゃうからね。 カメ子…!?亀山美和子略して「カメ子」だ。 最近誰かとトラブルになったというような事は?あっそういや庄司先生とえらい揉めてたな…。 庄司先生ってもしかして庄司タケルですか?ええ。 その作家と被害者揉めてたんですか?ええ…。 3日ほど前でしたかね庄司先生がえらい剣幕で…。 殺すぞてめえ!!離したまえ!「殺すぞ」…被害者にそう言ってたんですか?いえ担当の編集者はあの人じゃありません。
「最近の若い作家の中には重厚な小説の書き手が極めて乏しい」「庄司タケルの作品に至ってはテーマ性が希薄で見るべきものは何もない」そう述べていますね。 庄司タケルってあの『BitterLove』の作家の…?おや課長ご存じでしたか?うん。 ちなみにそのインクによる被害者の指紋が編集部の机やコピー機など数か所から確認されています。 キャバクラでボーイをしていた頃に傷害で逮捕歴があります。
そ…そうですか?真実に鋭く切り込みながらもいたずらに読者の危機感を煽り立てる事なくどういう事?エリセ化粧品の四国工場では機器の洗浄に有機塩素系溶液を使ってるんです。 この洗浄液が配管設備のずさんな管理のせいで何年にもわたって地下に染み出した可能性があるんです。 その汚染今まで誰も気がつかなかったのか?指摘する研究者もいたんだけどエリセ化粧品側は根拠が不十分だという理由で関連を否定したの。 映画?『BitterLove』は来年映画化が決定してるんです。
夏美マスカラ速攻買ったし!え…え?夏美マスカラって?知らないの!?仕方ないか。 小説の中の主人公が愛用している製品が実際に若い方の間で人気になっているわけですね。 希少価値を出すため映画の上映期間中のみの限定発売にする予定です。 庄司先生の本が何か?この小説の中でヒロインはエリセ化粧品の製品を愛用していますねぇ。 この『BitterLove』が映画化されるにあたってエリセ化粧品がスポンサーに決定したそうですね?映画とコラボレートした商品の開発も進んでるとか。
えっ?この『沈黙の森』の原稿勝村さんのデスクに残ってたんですけど。 あれゴミはゴミ箱にじゃなかったのか?勝村さんが必死で世に出そうとしてた原稿だ。 事件の翌日あなたが出版社にお見えになって勝村さんのデスクから絵を持っていかれたと。 では美和子さんの原稿をお読みになった時にはホタルのイメージがわいてきたわけですね?環境汚染によって姿を消したホタルがパッと頭に浮かびました。 先日あなたは我々の前で原稿の冒頭を口にされました。 美和子さんは『沈黙の森』の出版にあたり安藤さん。
美和子さんが見た原画ではホタルは黄緑だったそうです。 勝村さんはあの晩仕事場で美和子さんからのメールを受け取り原稿をプリントアウトして目を通した…。 彼は原画をオフィスに残しカラーコピーと原稿を持ってあの晩遅くあなたの…この事務所を訪ねました。 美和子の原稿を認めてくれたあなたが犯人だったなんて…。 はい?いや美和子が言ってたんですけどね本を出せない事よりもエリセ化粧品を糾弾できない事のほうが悔しいって。 美和子さんらしい言葉ですねぇ。