「先月20日に胃がんの手術を受けられた歌舞伎俳優の藤村豆四郎さんが主治医の盛山医師とともに退院の喜びを語られました」「一時はもはやこれまでと死を覚悟致しておりました」「命を助けてくださった盛山先生には感謝の言葉しかございません」「本当にありがとうございました盛山卓郎先生」「いいえお礼を言いたいのは私の方です」盛山卓郎?「日本一のお医者様だ」あの程度の胃がんなら俺だって簡単に切れるさ。 鈴木先生?作家の鈴木龍之介先生ですよ。
失格…!鈴木先生の担当はわたくし森山卓がお引き受け致します。 へえ~森山先生が鈴木さんの担当に?当然でしょう鈴木龍之介ですよ。 ご自分が受け持ちたかったでしょ相良先生。 知ってます?森山先生。 鈴木先生ですか?先生なんて呼ばなくていい!先生は俺たちだ。 森山先生。 でも我慢しなきゃ森山先生。 その話本当なんですか?相良先生。 相良先生。 あの…大変ぶしつけで申し訳ないんですが製薬会社の渋谷さんという方がですね先生の大ファンでこちらの先生のご本にサインを頂けないかと。
180センチくらいかな?あの話の流れはどう考えたって医者を悪者にした小説だ!ええっ?堂上とは書かないまでもイニシャルでD上総合病院のM山医師が登場するダークな世界を書こうとしてんだあいつは!ちょっと待ってよ。 そうだ!確かパートの有給休暇は労働基準法で認められてるはずです!それだ!いやいや…卓ちゃん!ちょっと!ちょっと森山先生…!あっ…大丈夫かな?どうされました?「君が狙っている相良先生を呼んでくれ」森山先生がそんな事を?君が僕を使って彼にプレッシャーをかけたんだろ?僕じゃダメですよ。
相良先生!鈴木先生のサインありがとうございました。 「はあ?」職場復帰は認めろ!職場復帰認めろ!認めろ!認めろ!な…なんなんだ?あんた!どうか河合さんをクビにしないでください!お願いします!!はあ?お願い…します~!手術は1時間半で終わる予定です。 ではこれから胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。 患部は炎症を繰り返していますから胆嚢周囲の癒着剥離の際には細心の注意を払っていきましょう。 相良先生はねこの病院で一番手術が上手なのよ。 何か…?相良先生が電話番号を…。
今まで顔も見た事がなかった老夫婦と孫たちが手を組んでそして…医療裁判に勝つために口封じに走る次期院長。 実につまらん病院だ!んっ…!森山先生はあの患者さんのために駆け回って職場復帰を約束させたんです!んんっ…!そうなんですよ。 そうそう!もう患者のためにこれほど心配する病院があるのかと感動されていたと…。 俺が欲しかったのは肩書きだったんだよ!「堂上総合病院院長森山卓」!変わるべきは君の方だろう。 鈴木さんに河合さんの話をされたのは森山先生を動かすためだったんですね相良先生。