係長仕事場見てきます。 あっ待った!鑑識さん!鑑識さん!鑑識さん!カメラ!なんですかね?なんなんだろう?でも仕事場らしくない仕事場ね。 マネージングディレクターって…どういう仕事?簡単に言えばあれだよ…銀行員だよ。 しかし銀行員にもこういった仕事場っていうのは必要なのかね?ふ~ん。 被害者桜田雅和さんの家族は奥さんの由里子さんそれとロンドンに留学中の息子さんが1人。 遺体の硬直具合と直腸温度から見て死亡推定時刻は昨夜22時から23時の間です。
誕生日もクリスマスも結婚記念日も。 クリスマスでしょバレンタイン誕生日…。 あぁ…そうなる?そうなるでしょ?出来た!なんですか?何が出来たんですか?被害者の右手に残ってたんですよ。 あ~カリグラフィー?カリグラフィー?うん。 カリグラフィーっていうのは簡単に言うと西洋の習字みたいなもの。 ほらこういうなんか誕生日とかバレンタインとかお祝いのカードによく使われてるの。 被害者はこの文字が描かれたカードか何かを握り締めてたんじゃないですかね?あら?由里子さんと同じ学校…。 イタリック体ゴシック体アンシェル体。
カリグラフィーには色んな字体があるんですがこのカッパープレート体だけが専用のペン先を使って描くんです他の書体はペン先を替える事で文字の太さを変えるんですがこの書体だけは筆圧の変化によって太さを変えるんです。 一昨日何者かに殺害されました。 ちょっといいですか?その時何かお渡しになりませんでした?何かって?例えばカリグラフィーのカードとか。 由里子さんあなた一昨日の夜10時半ご主人の仕事部屋に行ったんですね。 彼女?彼女って誰ですか?彼女とは高校時代からずっと一緒でした。
由里子さんはあの辺りで被害者に覆いかぶさるようにしてる路代さんらしき人物を見たって言ってるの。 この塗料の商品名がaquarelle。 アニリン染料をベースとした透明の水性カラーインク。 という事は犯人は18年前にニューヨークでカリグラフィーをやってた人物って事じゃねえのか?それって…。 犯人は証拠隠滅のためにこのカードを被害者の手から持ち去ろうとしたんじゃないかと我々は見ています。 離婚届渡したのにケーキ作ってたなんておかしくない?浅輪君。 これ何?え?みんなさ「LoveYou」なんだけどここだけ…。
何があったんですか?結局主人はどっちを選んだんでしょう?ご主人は最初からあなたを選んでますよ。 由里子さん本当はケーキを作って待ってたんじゃないんですか?ご主人が「LoveYou」のカードを持って帰ってきてくれると信じて待ってたんじゃないんですか?でもご主人は帰ってこなかった。 カリグラフィーアーティストになる夢を持ってたった一つ残された結婚生活それさえ彼女に奪われた。