被害者はこの三木プランニングの代表取締役三木昌弘さん４２歳です。 何してる会社なんだ？大手広告代理店から委託を受けてアートや音楽物販などいろんなイベントを運営しているそうです。 これは新刊案内ですかねえ。 『エンターメディア出版新刊案内』…。 新刊案内がどうかしたんですか？昨日発売されたエンターメディア出版の新刊本にあれと同じ新刊案内がはさまれているのを見たんです。 あの新刊案内がはさまれていたのは…この本ではないでしょうか？「『筆折れ、命果つるまで』夭折の天才画家有吉比登治の生涯」…。
あれー？ページがくっついてたのかな？回顧展ではその手紙も展示されるそうですよ。 有吉比登治の回顧展の初日が３日後に迫ってるのに三木がこんなことになってしまって…。 榊さんとおっしゃいますとひょっとして有吉さんが手紙を書かれたご友人の榊隆平さんでしょうか？そうですがあなたは？申し遅れました。 ではやはり今日は有吉さんのことで？あ…実は三木が榊さんから有吉比登治の手紙をお預かりしていてこんなこともあったので回顧展に出す前にきちんとそろっているかどうか一応ご本人に確認していただいた方がいいと思って…。
若いときはね納得できる絵が描けたらそれを持って一人で銀座界隈の画廊を回っていたようですけどね。 有吉さんは十代にして早熟の天才画家と呼ばれ短い人生を閉じた。 その有吉さんからの手紙なんですがどういう経緯で三木さんに提供されることになったか教えていただけますか？三木さんが訪ねてきたんです。 有吉の未発表の絵が２５点まとまって発見されたから回顧展を企画している。 それにしても榊さんは手紙を提供しておきながらどうして有吉さんに関して無関心を装ったり忘れたふりをするのでしょうねえ？はい。
「僕の個展が開かれるとき愚にもつかない絵を描いている有吉さんの手紙には友人として榊さんを思いやる言葉は昨日被害者の三木さんが絵画の贋作家ともめていたという現在捜索してるところです。 発見されたのは２４点ではなく２５点のはずですが？つまりまだ鑑定の済んでいない絵が１点だけあるということですね？遺作となった『晩鐘』という絵はご存じですね？有吉さんが亡くなる３日前に自ら引き裂いたという絵ですね。
ではなぜ銀座山形屋で大変立派なスーツシャツネクタイ一式を新調されたのでしょう？分不相応な買い物は犯罪ですか？ご自分の個展のために準備されたのではありませんか？そこには「僕の個展が開かれるときお前には入場券のモギリをやらせてやる」とありました。 あなたが友情であれ憎しみであれ有吉さんのことを忘れるはずはないんです！有吉比登治さんのことを話していただけませんか？あなたの友人だったこの人のことです。 有吉比登治の筆に間違いありません。 絵のタッチもサインも間違いなく有吉比登治のものだ。
あー腹減った！あの晩教会の鐘の音を聞いたときに贋作家の手にある有吉の『晩鐘』が無事に戻り警察に匿名の通報をしたのはあなたですね？そうです。 しかし僕は誰かの演出や話題性で何者かによって鋭利な刃物で切りつけられる事件が起きました」「犯人はスクーターに乗り背後から切りつけるという手口が同じ事や犯行場所も近い事から４日前に起きたスクーター通り魔事件と同一犯の可能性が高いとみて捜査を進めています」なんだよおい！…この野郎！なんで俺がパトカーに乗らなきゃいけねぇんだよ！？署でゆっくり話を聞くから。
か…監察官…！？今回の取り調べについて調査するために来ました。 取り調べの報告書ですか？死亡した被疑者の…。 大河内監察官から報告書に改ざんの跡があるかどうかの鑑定を依頼されたわけですね？はい…。 先ほど読んだ取り調べの報告書によると死亡した被疑者辻さんには…事件発生時のアリバイがありません。 直前になんかあったんですかね？報告書にはさらに３日間の取り調べ時間が記されていましたが中には１４時間以上取り調べた日がありました。
全国二十数万人の警察官全員のだ。 野村さんの違法な取り調べを目撃したとして同じ署で働く警察官が一切の仲間意識を捨てて職務にあたれるでしょうか。 現場からタイヤ痕は採取出来なかったんです。 野村警部補と下柳巡査部長を聴取した結果「はい」小野田官房長につないでくれ。 「脳こうそくによる脳卒中という検視報告を受けました」「よって警視庁は解剖の必要性はないと判断しました」脳卒中…？失礼します。 スクーターのタイヤ痕は？２件目の犯行現場で採取されたそうです。
ちょっと待ってください！捜査中の鑑識資料を持っていかれては困ります！何が捜査だよ。 鑑識資料を隠すのが捜査か！あんたには関係ない！おめぇみたいな警官がいると迷惑なんだよ！とにかく私にはこれを調べる権限があります。 なら一体…なんのための監督官なんだ！？「先日取り調べ中の被疑者が死亡した警視庁北川署で今日同じ署内で下柳巡査部長３５歳が胸から血を流して死んでいるのを…」失礼します。 もうそれでいくしかなかったんだ！！それが強引な任意同行警察官は自らを犠牲にして市民を優先するのが当たり前の人間だからです。